リニア・鉄道館で、100系新幹線の企画展を開催中(9/23まで) 2019/5/9

第8回企画展「東海道新幹線の進化」にある、新幹線車両の進化を示す展示

■100系新幹線電車は新幹線初の新形式

リニア・鉄道館では、ほぼ毎年企画展を実施しています。
いま開催している「第8回 企画展」のタイトルは、


 東海道新幹線の進化
 〜100系新幹線電車のデビューと果たした役割〜


です。

3月20日からはじまっていて、9月23日まで同館2階の体験学習室での展示となっています。

上の写真は、その企画展の最後にある新幹線車両の進化を示した展示です。1964年10月1日に東海道新幹線が営業を開始しましたが、それから20年強経った1985年まで、車両は0系一種類だけでした。もちろん、各種改良はされているものの、ブレークスルーと言えるような進化はしないままでした。

唯一、東北・上越新幹線用としてこの両線が営業を開始した1982年に200系が誕生していますが、0系を基本としたうえで寒冷地対策を施したマイナーチェンジ車でした。いわば、新幹線初の新型車として計画されたのが100系だったのです。


■100系新幹線電車は「モデルチェンジ車」だった

100系新幹線電車の先頭形状検討図案(左)と基本計画(右)

国鉄は1987年4月1日に分割民営化されて、JRグループが誕生します。その1年半前となる1985年10月1日に、100系新幹線電車は営業運転を始めます。その時代的背景から具体的な設計方針、さらには活躍した時代などを展示しているのが、今回の企画展です。

同展では、100系の開発経緯を知ることができます。

開発を予定する新幹線車両として、1982年には次の5種類が提示されたそうです。

 1.寝台車(個室)
 2.モデルチェンジ車0’(ゼロ・ダッシュ)系
 3.スーパーひかり100系
 4.200系量産車
 5.全国新幹線網用車

35年近く経った今日、「1.寝台車」は実現しておらず、「5.全国新幹線網用車」も実現する目処が経っていません。

一方、「4.200系量産車」はその後順次増備され、さらにその後継車両としてE1系からE7系まで登場しています。

となると、100系は「3.スーパーひかり100系」でしょうか?

いえ、そうではないのです。「2.モデルチェンジ車0’系」こそが後の100系で「3.スーパーひかり100系」は初代「のぞみ」として活躍した300系なのです。その100系の計画段階から知ることができるのが今回の企画展です。


■JR東海が発足し、100系が活躍したバブル時代

「シンデレラエクスプレス」の撮影に使われたガラスの靴も展示されている

100系は、0系の技術を踏襲することで赤字が大問題になっていた国鉄でも製造可能としました。1985年頃から0系の置換えが始まることになっていたため、新製車は必要だったのです。性能面ではさほど変わり映えのしない形式でしたが、乗客の居住性を追求した点ではエポックメーキングな車両と言えましょう。

その最たるものは、普通車海側の3列席も回転できるようにしたことです。そのためにシートピッチを一気に60mm広めた1,040mmとして、全席を進行方向に向けることができ、リクライニングもできるようにしました。これは最新のN700Aまで踏襲されている仕様です。

ところが、利用者が増加傾向にあることから、編成全体での座席定員を減らすわけにはいきません。そこで、中間車に2階建て車両を2両設けることにして、そのうちの1両を食堂車にすることで半室ビュフェ車を廃止して普通席数を0系と同じにします。さらに、もう1両の2階建てグリーン車の1階は新幹線初の個室としています。筆者はこの頃、毎週のように新幹線で出張する生活をしていましたが、100系の居住性の良さに惚れ込んで、100系使用列車をできるだけ利用するようにしていました。

その100系新幹線電車の増備が進んだ頃に、国鉄が分割民営化してJR東海が発足します。ほぼ同時にバブル景気がやってきました。昭和から平成になる頃です。

JR東海は週末、東京駅21時発の最終下り「ひかり」の発車前になると、遠距離恋愛中の男女がホームで別れを惜しむ様子をみて、「シンデレラ・エクスプレス」のテレビCMを放映します。これが大いに評判となり、新幹線を使った遠距離恋愛が話題にもなりました。実際、この列車の発車前に東京駅ホームに行くと、目のやり場に困るほどでした。

そのとき、テレビCMのために作られた「ガラスの靴」も展示されています。


■ぜひ入手したい企画展の図録

「第8回 企画展」の図録は、リニア・鉄道館で販売中

100系をテーマにした「第8回 企画展」は、ひととおり見るだけで勉強になりますが、内容が盛りだくさんなだけに、帰宅後に「そういえば、どうだっけ?」と思うこともあります。

そんなときに役立つのが企画展図録です。A4サイズ78頁に、展示内容が網羅されています。税込で1冊1,000円。1階の総合案内で販売していますので、ぜひ入手しておきたいものとなっています。

リニア・鉄道館には、歴代の新幹線の本物が展示されていますので、それら実物も併せて見学することで、さらに100系をはじめとした東海道新幹線車両に対して理解が深まることでしょう。


この連休にも、お出かけになってはいかがでしょうか。

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(有)鉄道フォーラム 代表取締役

1958年愛知県犬山市生まれ。大学卒業後に10年のサラリーマン生活を経て、当時話題だったパソコン通信NIFTY-Serveで鉄道フォーラムの運営をするために脱サラ。1998年に(有)鉄道フォーラムを設立。2007年にニフティ(株)がフォーラムサービスから撤退した際に、独自サーバを立ち上げて鉄道フォーラムのサービスを継続中。

一方、鉄道写真の撮影や執筆なども行い、「日本の“珍々”踏切」(2005.2 東邦出版刊)、「鉄道名所の事典」(2012.12 東京堂出版刊)、「トワイライトエクスプレス」食堂車ダイナープレヤデスの輝き−栄光の軌跡と最終列車の記録−(2015.9 創元社刊)など著書多数。

当「達人に訊け!」をまとめた書「東海鉄人散歩」(2018.7)が、中日新聞社から刊行された。

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