とうとう成立「幼保無償化」「高等教育無償化」 2019/5/13

5月10日、幼児の教育や保育を無償化する「改正子ども・子育て支援法」がとうとう参院本会議で成立しました。これは政府の「全世代型社会保障」の柱の一つで、ここでも何度も取り上げてきましたが、消費税増税に合わせて10月から幼保無償化が始まります。また来年4月から始まる高等教育無償化の「大学等修学支援法」も成立しました。

ただそれぞれ課題は山積しているので、再度、内容と課題を確認しておきましょう。

■幼保無償化の「対象者」は?

表1 幼保無償化

表1に幼保無償化をまとめました。

まずは幼稚園・保育所・認定こども園の場合ですが、0歳〜2歳は住民税非課税世帯(年収が270万円未満)のみが対象となります。3歳〜5歳は原則全世帯の利用料が無料となります。今回は、認可外の保育所等も対象になりました。年約300万人が対象予定です。

課題はやはり施設整備が足りるのかという待機児童の問題です。無料ならやはり希望者が増えるのは当然です。政府は2020年度末に保育の受け皿を32万人分増やして、「待機児童ゼロ」を掲げていますが、保育施設だけでなく、保育士不足に対しても、まだ対策がとられていません。また、今回は認可外の保育所等も対象になり、5年間は基準を満たさなくてもよく、保育の質が担保できるのかといった課題も残ったままです。お金も大事ですが、子どもの安全が一番という、最も基本的なことが置き去りにされているように感じます。

さらに3歳〜5歳児がいる世帯の所得制限を設けなかったことによって、高所得者世帯が優遇されるのではないかといった指摘も残ったままです。そして案外知られていないのが無償化されないものですが、給食費、送迎バス代、遠足などの行事費用等は無償化の対象となりました。

■高等教育無償化は世帯年収で三段階に

次に「高等教育無償化」に関しては、以下の2本柱です。@授業料の減免、A返済不要の給付型奨学金の支給の拡充。対象は年収380万円未満です。「両親と大学生、中学生のモデル世帯」の場合、授業料の減免に関しては、図1のように、年収によって3段階となります。

図1 高等教育の授業料の減免

これに入学金が国公立は28万円、私立は26万円を上限に減免されます。他に短大、高等専門学校、専門学校が対象となります。また給付型奨学金の場合、住民税非課税世帯は、大学生の場合は表2のようになっており、年収270万〜300万円は3分の2、年収380万円以下は3分の1が支給されます(高等専門学校生は大学生の約5~7割)。

表2 住民税非課税世帯の給付型奨学金支給額

課題としては、無償化の対象が年収380万円未満なので、この金額以上になると支援が全く受けられないことです。現在、減免を受けている学生も対象外になる可能性もありえるので、来年4月までに、中間所得層への支援が継続するのかが課題として残っています。

またもし消費税増税の影響で学費が上がると、支援を受けられない年収380万円より少し上の世帯の学費負担が大きくのしかかってきます。さらにこのような支援があることを高校や大学で周知させる必要があります。

これまで経済的理由で大学を諦めていた低所得者層の学生にとっては、朗報ですが、その少し上の所得層の世帯をどのように支援していくのかも考えないと、授業料や生活のためにアルバイトを増やし、疲れて大学に来られなくなるといったことがおこってしまいます。制度が始まるまでに、このような課題が少しでもなくなるよう、私たちも注視していきたいです。

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岐阜大学教育学部教授・博士

京都市生まれ。ノートルダム女子大学(京都)文学部卒業。大阪市立大学大学院生活科学研究科後期博士課程修了。

現在、岐阜大学教育学部教授・博士(学術)、放送大学客員教授。

家庭経済学、家庭経営学、家族関係学、アーミッシュ研究等の講義を担当。

放送大学ではラジオで「生活経済学」の講義を担当(2012〜2016年)。

主な著書 『ちほ先生の家計簿診察室』(名古屋リビング新聞社2002年)、名古屋リビング新聞社、大阪リビング新聞社で家計簿相談を20年ほど担当。

『お金と暮らしの生活術』(昭和堂2012年)、『仕事・所得と資産選択』(放送大学教育振興会2008年)、『アーミッシュの謎』(共訳、論創社1996年)、『アーミッシュの学校』(共訳、論創社2004年)、『アーミッシュの昨日・今日・明日』(共訳、論創社2009年)、『生活経済学』(放送大学教育振興会2012年)など。

趣味:毎日家計簿をつけること。ただし買い物好きなので家計チェックは自分にはあまり生かせていないかも・・・・・

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