【第53回】入場料無料の夢と食の国 福岡のアミューズメント フードホール「ハローデイ」 2019/5/29

ハローデイ 別府店 福岡県福岡市城南区別府4-14-21 Open:10:00〜22:00(火曜日と土曜日は9:00〜) Tel:092-833-1331

“日本一視察の多いスーパー”と紹介される、独創的な店舗づくりで全国に知られたスーパー「ハローデイ」。訪れれば自然とハッピーな気分になるお店との評判なんです。2015年にオープンし、地域になくてはならない存在となっている店舗「ハローデイ別府(べふ)店」を探訪し、その魅力をお伝えします。


【店舗コンセプトとお客様満足度の関係】
福岡、熊本、山口の3県で50店舗以上展開している「ハローデイ」は、それぞれの店舗ごとに異なるコンセプトを掲げています。年2回の「ハロリンピック」なる社内イベントでは内装やディスプレイだけでなく、スタッフが売り場づくりを手がけてその世界観を表現。誰もが楽しい気分で買い物ができる空間を提供することに、本気です。

漁港の町で「海」がテーマの姪浜店、野菜をモチーフにした下曽根店、北九州空港に近い貫店、素敵な日常を表現したハローパーク大手町店、サーカスのような驚きもある徳力本店(写真提供:ハローデイ)

その魅力の一部は、2012年に出版した私の著書「日本全国ご当地スーパー 掘り出しの逸品」(講談社)でも、“ユニークなコンセプトのディスプレイの店舗で福岡のご当地食を買える店”として掲載しました。

じつはそれ以来、私自身の心の中にあったのは「ハロリンピックに優勝しても、お客さんには関係ないのでは?」という気持ち。しかし、今回お邪魔した「ハローデイ別府店」で、「買う側と売る側の両方に有益」と実感した瞬間がありました。

「ハローデイ別府店」のコンセプトは、地域の人々と食を通して楽しく集える場所となりたいとの願いを込めた「COMMUNITY FOOD MARKET」。そのあふれる地元愛が伝わってきたのは、店舗入り口に掲げられた、手描きの挨拶板でした。描いたのはお店のスタッフ、チェッカー(レジ担当者)の原田さん。

描かれているのは、昭和45年に完成した街のシンボル「別府大橋」(別府大橋跨線橋)。かつてこの地域の人々に利用されていた旧国鉄の筑肥線線路を跨(また)ぐようにつくられた、国道202号線(当時は県道)に架かる陸橋で、じつはこの「ハローデイ別府店」の外観のデザインと、店内の中央天井のイメージにも使われていることを、絵と文字で説明するものです。

「昭和40年代からすでに住宅地で、現在は高齢者が多いのでないか? だとすれば、郷土の味は欠かせないし、値段の安さも求めるだろう」  
初めて訪れた店舗でしたが、街や近隣に住んでいる方々のことが想像しやすくなることに気づきました。

こんな風に、コンセプトを目に見えるような内装やディスプレイに表現することで、より一層、スーパー側からはターゲットが鮮明に見えるはずです。その結果、地域の好みに沿った商品の揃え方、並べ方、価格帯、サービスを提供でき、その結果、顧客満足度が高まるのかもしれません。

これは同社の核となる「縁ある人を幸せにする」というポリシーに通じます。


【見つけると“ニヤッとなる”ご当地食】
じつは、ハローデイは地元を幸せにするだけではなく、旅行者にも喜びを与える存在です。私はこんなご当地食を見つけると、幸せを感じてしまいます。

〜なんで箸付き?「ほぼナポリタンドッグ」300円〜
パンとナポリタンが1対9の割合で「ほぼナポリタン」なハローデイ名物。同じ割合の「ほぼ焼きそばドッグ」も存在。まずは箸で麺を食べ、ほどよい頃合いを見計らわないとドッグ状態で食べられません。

〜ハロッコリーも応援 「長崎皿うどん」149円/マルタイ〜
長崎のご当地食「皿うどん」も福岡で日常的に食べられいます。麺とスープがセットになったこの商品は九州の麺メーカーの大手「マルタイ」と「ハローデイ」のコラボ商品。ハッピースマイル島からやってきたハローデイのゆるキャラ「ハロッコリー」も美味しさをアピール。


〜要冷蔵「久留米ホットドッグ」128円/フランソア〜

当欄で1度紹介した、「冷たいホットドッグ」、再登場です。1948年から久留米市の「キムラヤ」がつくり地元のソウルフードとなっていましたが、2年前に閉店。その味を引き継いだ福岡のメーカー、フランソア製です。

〜福岡のおにぎりはご当地感がすごい! かしわめし350円〜
ハローデイのおにぎり売り場のメンツがクセのある具材揃い。
・博多明太子
・高菜
・かしわめし
もちろん梅や昆布もありますが、福岡の味が目立っています。人気の「かしわめし」は、うどん屋さんでもサイドメニューに添えられる、ソウルフードでもあり、しっかりした味わいは九州のお袋の味。写真の「かしわめし」は、ハローデイ全店で自家炊飯し握っている、できたてです!


〜ようこそ醤油の惑星へ ヤマタカ醤油〜
クセが強いのはおにぎりだけじゃありません。醤油がこれまたスゴかった! そもそも九州では醤油の種類が多く、とくに甘みが強いものが好まれています。なかでもハローデイで人気の地元醤油「ヤマタカ醤油」は、その甘さととろみの強さの順に月星(げっせい)、火星、水星、木星と名前がついています。一番売れているのはオールマイティな木星ですが、最も濃くて甘い月星は、おさしみや煮魚にぴったり。ちなみにメーカーでは業務用「土星」も製造。

〜ご当地感たっぷり! 地元食〜
お土産になりそうな、ご当地商品もまだまだあります。

やまやの辛子明太子使用した、ぼんちの「揚げせん」、1972年からのロングセラー「愛のスコール」、ハウス食品のご当地麺「うまかっちゃん」、懐かしき「フレンチパピロ」も福岡の味

【ハローデイ “幸せ”発見までの道のり】
現在は幸せの妖精「ハロッコリー」も住み着いているハローデイですが、過去に倒産の危機から奇跡的なV字回復を遂げたことも同社を有名にしています。

じつはそれ以前の1973年、現在の北九州市小倉に本社移転した理由は、あまり知られていません。

1958年に創業した地は、福岡県京都(みやこ)郡苅田(かんだ)町でした。
当時、苅田町で商売をしていた「ハローデイ」の前身「かじや」が、同業他社との競争で規模の拡大を繰り返した結果、土地の広さが限界に達して移転の必要性に迫られたのです。そして、現在本社がある小倉に店舗を移転させたというわけです。

さて、ここからが有名なV字回復のドラマです。

新天地で、スーパーのほかコンビニや飲食店まで合わせ18店舗に成長した1989年ごろ、大きな危機が訪れました。
「60億円の借金で、倒産の危機」
三代目で現社長の加治敬通(のりゆき)氏が、ちょうど関東のスーパーでの修行を終え入社した年のことです。

お金はないけれど立て直さなければならない。
その制約の中でできたことは、少しでも買い物を楽しくしてもらえるよう、自分たちの力で改装することでした。パートを含めスタッフ総出で売り場をディスプレイ。それが、現在のハローデイを形づくった原点でした。

(写真上)牛乳売り場には、わかりやすく選ぶときの参考になる「飲み比べ」の味の評価のマトリックス表。同じように「豆乳編」もある/(写真下)肉加工品コーナーの壁に投影されている、子ども向けの動画。鮮魚コーナーでは魚のイラストが床を泳ぐように見え、買い物中の子どもたちも目が釘付けに

のちのインタビューで加治社長は「あるアンケートで “スーパーに買い物に行きたくない”という意見にショックを受け、まずは自分の職場を楽しく変えて自分たちが楽しくなければ、お客様をよろこばせることができないと気づいた」と語っています。(引用:TheCowtelevision「ハローデイ(2)差別化のコンセプト 店舗に潜入!」)

そんな道のりを経た現在、ハローデイの正式名称は「アミューズメント フードホール ハローデイ」。「Amuse=喜ばせる」場所であることを自他共に認めるスーパーとなりました。

ちなみに「ハローデイ」は英語で「Hello」+「 Day」の意味ですが、表記は「Hallo Day」。1988年の「ハローデイ」への屋号変更時、「Hello」より「Hallo」表記が日本人には自然にハローと読めるであろうと、あえて「Hallo」にしています。どうぞ「スペルが間違ってますよ」などというご指摘はなさらぬように。

取材後、必ず買い物をする私ですが、買い物を終えて、お店を後にしようとしたとき、目にしたのがカートに書かれた手書きの言葉。
「忘れ物はございませんか」
毎日、この言葉で「助かった!」と思っているお客さんがたくさんいるだろうな、と最後にまた笑顔にさせてもらいました。

次回は引き続きハローデイで、新機軸の「ボンラパス」に訪問です!お楽しみに!!


ハローデイ 別府店

福岡県福岡市城南区別府4-14-21
Open:10:00〜22:00(火曜日と土曜日は9:00〜)
Tel:092-833-1331

※記事中の価格は税別価格で取材時のものです。また紹介した商品は常時取り扱いがあるとは限りません。

PR情報

記事一覧

【第56回】GoWest! ご当地スーパー特選「お土産ご当地食」西日本の巻

秋の行楽シーズン。お出かけの帰りに、ご当地スーパーに立ち寄ってみませんか?そこは地元の人が毎日食べている、本当のご当地食の宝庫です。前回の東日本編に…

2019/9/14

【第55回】旅先のご当地スーパーで買う、特選「お土産ご当地食」東日本の巻

夏の帰省や秋の行楽と、旅に出かける機会の多いシーズン。お土産を買う目的で、帰りにご当地スーパーに立ち寄ってみませんか?地元の人が毎日食べているスーパ…

2019/8/13

【第54回】食の殿堂「ハローデイ」が仕掛ける 魅惑の宝探し『ボンラパス トレゾ』

「美味しいものをつくりたい!」。そんな気にさせるスーパーが、福岡にあります。フランス語で“美味しい食事”を意味する「ボンラパス」と、“トレゾール(宝)”…

2019/7/3

【第53回】入場料無料の夢と食の国 福岡のアミューズメント フードホール「ハローデイ」

“日本一視察の多いスーパー”と紹介される、独創的な店舗づくりで全国に知られたスーパー「ハローデイ」。訪れれば自然とハッピーな気分になるお店との評判なん…

2019/5/29

【第52回】研究家オススメの「全国ご当地スーパー 選りすぐりのお弁当」

春の行楽シーズンがやってきました。 人気のお弁当を目的に、全国のご当地スーパーを訪ねる旅はいかがでしょうか?駅弁とはひと味違う旅先の地元食はインパクト…

2019/4/3

【第51回】身も心も温まる ご当地スーパー「冬の定番」

一年で最も寒さの厳しいこの季節にぴったりな、ご当地スーパーで人気の冬の定番をご紹介します。 体を温めるメニューは各地にありますが、体だけでなく心までも…

2019/2/5

【第50回】訪れたい!食べたい! ご当地スーパー東海編

いつも当ページをご覧いただきどうもありがとうございます。そんなご当地スーパーファンのみなさまにお知らせです。 2018年12月20日、新刊「東海 ご当地スーパ…

2018/12/21

【第49回】全国ご当地食の店『しなまつり』に飛騨のご当地スーパー登場!/ららぽーと名古屋みなとアクルス

2018年9月28日開業の「ららぽーと名古屋みなとアクルス」に、ご当地食ファンならずとも見逃せないショップがオープンしました。47都道府県だから「47(しな)ま…

2018/10/1

【第48回】日常と非日常のW構成! 刺激される好奇心『MEGAドン・キホーテUNY東海通店』

総合スーパー売上高国内3位「アピタ」「ピアゴ」の『ユニー』と、深夜営業のディスカウント店、驚安の殿堂『ドン・キホーテ』が手を組んだコラボ店『MEGAドン…

2018/8/2

【第47回】できたて感動! 美食と健康のアミューズメント・スーパー『マルヤス メルヴィ芸濃店』

「地域の人々の健康的で豊かな暮らしのために」という基本理念を掲げ、健康的で高品質な食材の提供で地元人気の高い、三重県の「マルヤス」。2018年4月にオープ…

2018/7/12

プロフィール

18

達人に質問をする

スーパーマーケット研究家
65年東京生まれ、名古屋在住。
サラリーマンの夫の転勤で国内外の転居を繰り返す中、スーパーの研究を始める。2012年に出版した著書が話題となり、出演したテレビ番組で紹介した岐阜県高山市の隠れた日常食「あげづけ」が大ブレーク。現在は、テレビ出演や新聞・雑誌の連載、講演活動をこなしつつ、子育ての隙をみて、自腹で全国のご当地スーパーを行脚。埋もれた日常食の発掘とその魅力を伝えている。新刊「東海 ご当地スーパー 珠玉の日常食」(ぴあMOOK中部)

著書/『日本全国ご当地スーパー掘り出しの逸品』『日本全国ご当地スーパー 隠れた絶品 見〜つけた!』(講談社)

ピックアップ

  • 中日ボイス『札幌で「五輪マラソン」賛成?』
  • 会員登録
  • ログイン
今日の天気(05:00発表)
名古屋
晴れ時々曇り
26 ℃/--
東京
曇り時々晴れ
24 ℃/--
大阪
晴れ
25 ℃/--
  • 東名, 名神, 東名阪道, 名古屋高速で渋滞情報あり。
  • 登録路線が未設定です。
  • 公式 Twitter はこちら
  • 公式 Facebook はこちら
クラウドファンディング 夢チューブ 中日新聞
東京新聞 電子版
中日新聞の人材研修 ビジネストレーニング「ビズトレ」
中日販売サポート
東海テレビ 庄野アナと 新聞を音読してみよう!
中日防災ナビ
こどもウイークリーのこーなー
過去の企画・特集