気功治療への道案内/二日目 2019/6/10

◆気功治療の補法と瀉法

二回目の『静観塾』が始まり、お茶を飲みながら、茉奈が持ってきてくれた山梨土産の信玄餅を戴いた後、私は二人に語り始めた。

「気をだして治療していく場合にも、、補法と瀉(しゃ)法という二つの違った技法があるんですよ。」
すると、私が次の言葉を発する前に、
「気のボールを当てるだけではダメなんですか?」
と、佳与が訊ねた。
「気功治療にも、鍼灸治療と同じで、補瀉(ほしゃ)という二つの違った技法がありましてね。」
私が言うと、佳与は初めて聞いたようにキョトンとして丸い目を更に丸くして言った。
「相手の状態によって違った気の当て方があるってことですか?」
「そうです。
体が弱っている人には気を補ってあげなければならないし、炎症や痛みなどの邪気がある場合には、それを取り除いてあげなければなりませんよね。
それが補法と瀉法という違った治療法になるんです。」
「補法は気を補うという治療法で、瀉法は瀉血のように、気を瀉す治療法という意味なんですね。」
と、茉奈が頷きながら言った。
「ふーん、気のボールを当てるだけではダメなんだー。」
佳与が独り言のようにつぶやいた後、私に向かって顔を上げた。
「その二つの違った気の当て方について教えて下さい。」

私はもう少し理論的な話をしてからにしようと考えていたのだが、実習を先にしても良いかなと思い、
「では、私たちの発する気はイメージではなく、確かな感覚でなければなりませんので、それが体感できるようになる為の練習をしてみましょうか。」
と言って、私は二人を立たせた。

◆剣指から気を出す練習

「気は、掌から発する方法と、剣指(けんし)で発する方法の二つがあるんです。」
「剣指?」
そう言ったのは、勿論、佳与だった。

「人差し指(示指:じし)と中指(ちゅうし)を伸ばし、他の指を折り曲げて作る鉄砲のような形を剣指と言い、丁度鍼のように真っ直ぐにツボから気を入れる場合に用いるんです。」
「この剣指が瀉法になるんですか?」
佳与が自分で作った剣指を見ながら言った。
「いいえ、剣指は鍼と同じで、補法にも瀉法にも用いることが出来るんですよね。」
私は答えた。

そして、
「養生気功の『鳥の舞』の動きなどで、手を降ろしてくる時に、掌から息を吐き出すようにしたと思いますが、その時に剣指を作り、特に中指の先から気を発するようにしてみるんです。」
と言って、私は気の発し方を伝え、二人に剣指で気を発する練習をさせたのである。

*実習については、『養生気功の基礎・2「鳥の舞4種」』をご覧下さい。

「気は足の裏から吸い入れて、剣指で吐き出せば良いんですよね?」
茉奈が訊ねた。
「実際の治療の段階になれば、尾骨や命門、胸板や額など、採り入れやすいところから吸い入れれば良いんですが、鳥の舞の時は足の裏から吸い上げてみて下さい。
でも、主な練習は、剣指から気が出て行っているという自分の感覚をつかむことですからね。」
「はーい!」
と、私の言葉に、佳与は嬉しそうに応えた。

そして、私は、しばらく練習をした彼女たちを座らせて、剣指から気が出ていることを確かめ合ってみたのである。
「右手で剣指を作り、その剣指を左手の掌に向けて、左での掌で剣指から出ている気を感じてみて下さい。」
私が言うと、彼女たちはそれぞれに剣指の気の感覚を味わっていた。

「ねぇ、茉奈、茉奈の気を当ててみてよ!」
と、佳与が自分の掌を茉奈に差し出した。
茉奈は自分の剣指を佳与の掌に向けた。
「わー、何か温かいようなスーっとするような感じ!」
と、佳与が驚きの声を上げた。
「わたしもやってみて!」
今度は茉奈が佳与に向かって掌を出した。
「佳与のもよくわかるよ。」
茉奈が言うと、佳与はにやっと笑った。

「その練習の仕方、いいですねぇ」
私はそう言った後、もう一つ、掌と剣指の感覚の練習方法を伝えた。
「掌で感じる人は目をつむり、剣指の人は、その剣指を何度もゆっくりと盾に動かしたり、横に動かしたり、丸を描いたりして、目をつむっている人は、それがどういう風に動いているかを当てるんです。」
私がそう言うと、二人は早速、それをし始め、「わからないなぁ」とか「そうそう、凄い!」などと声を上げながら剣指遊びを楽しんでいたのだった。

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プロフィール

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鍼灸師・気功法講師。

和歌山県出身。日本福祉大卒。名古屋市内に鍼灸院「和気」を開院(2015年、閉院)。林茂美師に師事し気功を習得。愛知県名古屋盲学校専攻科非常勤講師(2016年退職)

現在は名鉄カルチャースクールにて講師活動のほか、名古屋市内にて各種の気功講座、気功教室を担当。

また、2013年より京都、妙心寺内大心院にて気功講習会を開始。現在に至る。

趣味は、陶芸、京都・奈良ウォークなど。

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