武豊にあった本格派・日本油脂専用線 廃線跡探訪(6) 2019/7/11

長尾児童館に保存されている、もと日本油脂専用線の電車

JR武豊駅と名鉄知多武豊駅から西北へ約1キロのところに、上の写真の電車があります。武豊町立長尾児童館にある、児童が遊ぶ施設です。しっかりとした電車ですが、見慣れない形をしています。

それもそのはず、もとは西武鉄道の電車です。それが、武豊にあった日本油脂の専用線に譲渡され、この地を走っていたことから同地に保存されています。窓もドアもアルミサッシにされ、塗装もいささか残念な状況ですが、台車はしっかりとした線路に乗っていて、パンタグラフも現存しています。


日本油脂(現・日油)専用線は国鉄(現・JR)武豊線武豊駅から分岐していました。分岐付近にある工場と、西に3キロほどいったところにある工場を結んでいた専用線で、貨物とともに工員輸送もしていました。ただし、部外者の乗車はできないため、知る人ぞ知る存在だったようです。

武豊駅からS字カーブを描いたあと、名鉄河和線をアンダークロス。その先はほぼ直線で田んぼの中をとおり、軽く築堤を上ると目的地の工場です。

航空写真では今も専用線跡がクッキリと見られる。

上の写真は、国土地理院の「地図・空中写真閲覧サービス」で見られる1982(昭和57)年11月28日撮影の武豊付近の空中写真に、目印となる事柄を筆者が付記したものです。クリックして拡大して見てください。いまも廃線跡をクッキリと確認することができます。ただし、JR武豊駅付近については、いささか分かりにくくなっています。

この専用線跡を去る2019年6月3日に訪ねてみました。

架線柱もしっかりと残っている日本油脂専用線跡

この専用線は、国鉄が分割民営化するまであと1年という1986年3月まで営業していました。筆者が初めて武豊を訪れたのはその翌月で、残念ながら現役時代を知りません。そのため、地図上で線形は確認していたものの、JR武豊駅側からアプローチしたところ、どうもよく分かりません。こういうときは、確実にわかるところに行くに限ります。そう、終点側です。

あたりをつけて西に向かうと、田園地帯にでた途端に廃線跡が分かりました。架線柱がしっかりと残っているので、遠目にも良く分かるのです。

架線柱…そうです、この専用線は電化されていました。国鉄時代の武豊線は非電化線でしたが、その先にある専用線は電化されているという点でユニークな存在といわれていました。そのお陰で、冒頭で紹介した車両も西武鉄道から譲受した電車というわけです。

ところで、もう一度上の写真をみてください。架線柱が遠くまで建っているところに目が奪われますが、線路敷きにあたるところに、何やら黒い物体が転々と写っています。もっと西側では、線路敷きの真ん中にこの黒い物体が一直線に埋め込まれていました。工事中の案内板も見られました。

送電線を地中化するのか、光ケーブルを埋設するのか、そんなところではないかと思います。いずれにしても、この廃線跡は今はもちろん、今後も日油として活用していく予定のようです。

名鉄線の東側も架線柱は林立するものの、まだ工事はされていなかった

廃線跡を確認したので、同線を追って武豊駅側に戻ります。

廃線跡に並行する道はないので、文字どおり右往左往しつつかつての踏切部分を確認しては武豊駅方向へと近付いていきます。

やがて名鉄河和線をくぐり、大きく左カーブをした線路は北上します。この名鉄線との交差付近から武豊駅側は工事がされていませんでしたが、おそらくその後に工事対象になっているものと思います。しっかりと架線柱が続いているところが見物ですよね。

上の写真を写したところまできて、先ほどJR武豊駅側からすぐに廃線跡を見失った理由が分かりました。この写真を写したすぐ後ろには日油の門があり、廃線跡はその中に入っていっているのです。工場敷地内ですから部外者は近付くことができず、その存在が分からなかったのも致し方なかったのでした。

理由が分かり、スッキリとした気持ちで帰途につきました。

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(有)鉄道フォーラム 代表取締役

1958年愛知県犬山市生まれ。大学卒業後に10年のサラリーマン生活を経て、当時話題だったパソコン通信NIFTY-Serveで鉄道フォーラムの運営をするために脱サラ。1998年に(有)鉄道フォーラムを設立。2007年にニフティ(株)がフォーラムサービスから撤退した際に、独自サーバを立ち上げて鉄道フォーラムのサービスを継続中。

一方、鉄道写真の撮影や執筆なども行い、「日本の“珍々”踏切」(2005.2 東邦出版刊)、「鉄道名所の事典」(2012.12 東京堂出版刊)、「トワイライトエクスプレス」食堂車ダイナープレヤデスの輝き−栄光の軌跡と最終列車の記録−(2015.9 創元社刊)など著書多数。

当「達人に訊け!」をまとめた書「東海鉄人散歩」(2018.7)が、中日新聞社から刊行された。

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