カフェ・ハウスとコーヒー・ハウス 2019/7/19

珈琲教室の生徒達

いつもありがとうございます。

5月から7月にかけて、いろいろな国のCOE(カップ・オブ・エキセレンス)のカッピングとオークションが行われています。

7月初旬にワタル名古屋支店でホンジュラスCOEのカッピングがありました。珈琲教室から旅立った珈琲店の方や、将来、珈琲屋を目指している珈琲教室の生徒さん総勢9名で行ってきました。

このCOEのカッピング会は研修会ではなく、カッピングにより商品を見定めて店の商品として買うため(オークション)のカッピングですので、バイヤーではない生徒達をお連れするには少し気が引けましたが、ワタル名古屋支店長が快諾してくれましたので生徒たちにはとても貴重な良い体験ができることとなりました。勿論、他の方たちの邪魔にならないようにと事前に話しておきましたので、何も問題はなくとても良い会となりました。

生徒たちはカッピングが終わってからも支店長や担当の方にいろいろな質問をしていました。「少しでもコーヒーを知ろう!」という真剣な姿と心意気に私はとても感動しました。本当に珈琲好きな素晴らしい生徒達です( ^)o(^ )

これからも、こういった機会を利用して一人でも多くの生徒にカッピングの勉強の場を提供していこうと思っています。

名古屋ワタル(株)でホンジュラスCOEのカッピング

さて、現在日本では、専門店、喫茶店、チェーン店、大型店、一人で営んでる小さな店などいろいろなスタイルの珈琲店や喫茶店があります。また、それらの店には、いろいろな思いを持っていろいろな方がいろいろなスタイルで来店されます。店側はその思いを受けとめて良い商品をご用意して、すべての方に分け隔てなく平等に接し、来店していただくすべての人に気持ちよく過ごして頂けるように日々気を留めて接客に努めています。

名店といわれる店は、お客さんがその店を理解し、相互理解の上で良い雰囲気を醸し出しているように思います。私も思いの一つとして、お客さんに媚びることなく、おごることなく、お客さんと同じ思いで店の時間と空間を楽しんで頂く、そんな店創りができたらよいと考えています。良い意味での対等な関係の店になりたいと考えています。対等でいたい、あるべきという事には、良い店創り味創り人創りが絶対条件になりますので大変な努力をしなければなりません。

努力不足でまだまだかないませんが、いつの日かすべてのお客さんがこの空間で美味しい珈琲を飲み、ホット一息ついて心の休息となるような店にしたいと思います。

イギリスのカフェ・ハウス・・・徒然しょうごのブログより抜粋

では、カフェとはどんな役割なのか、どんな場所なのかを謳ったウィーンとイギリスの興味深い文章を2つ紹介したいと思います。

一つ目は・・・
毎年12月に出版される日本コーヒー文化学会の「コーヒー文化研究」の第一回目の「ウィーンカフェの歴史」の中に1918年ボヘミアン作家ペーター・アンテンベルクが書いた「カフェハウスの讃美歌」です。

------------------------------------------------
あれやこれやで悩みが尽きないのなら―――カフェハウスへ行こう

彼女が何かのまことしやかな理由があってこないのなら―――カフェハウスへ行こう

ブーツがぼろぼろになったのなら―――カフェハウスへ行こう

給料が400クローネなのに出ていくのが500クローネなら―――カフェハウスへ行こう

正しく慎ましく生きているのに何の恵みもあずからないのなら―――カフェハウス行こう

しがない官吏ながら医者になれたのにと思うのなら―――カフェハウスへ行こう

気の合う女がいないのなら―――カフェハウスへ行こう

心の中で自殺を考えているのなら―――カフェハウスへ行こう

人を軽蔑して嫌っているのに人がいなくて寂しいのなら―――カフェハウスへ行こう

もうどこでも付けがきかなくなったのなら―――カフェハウスへ行こう
------------------------------------------------


「ウィーン・カフェ300年」を記念して出したパンフレットのタイトルが「自宅ではないが我が家」であると書いています。

要するにカフェハウスとは、「自宅ではないが、自宅のすべての長所を兼ね揃え、かつその短所をすべて払拭した我が家」なのです。

本来いろいろな方たちが集まるコーヒーハウス(珈琲店、喫茶店)という場所はすべての方が楽しく過ごせる場所なのです。「ホーム」ではなく「ハウス」なのですから。しかし、そこにはそれ故にそれぞれが気に留める暗黙のマナー、ルールみたいなものが存在しているように思います。

2つ目は・・・
1993年に八坂書房から「伊藤博」氏が出版した「コーヒー博物誌」という本の中に書かれている、店内におけるお客さんと店主とのマナー、ルール、心得を書いた「イギリスのコーヒーハウスの法令(1674年に発令された)」を紹介します。


------------------------------------------------
「1674年 イギリスのコーヒーハウスの法令」・・韻文詩

ご来店は自由なれど、まずは次なるつつしみの約束ごとをご存じあれ

まず第一に、上品なる紳士、仕事に精出す市民各位、わけへだてなく、歓迎つかまつる。

遠慮は無用、仲良くお席に着かれたし。

誰もおのが特権を振り回さず、どこでも、空いている席にお座りあれ。

身分高き人に対しても、ご自分の席を譲るにはおよびません。

喧嘩を始めたる御仁は、その罰として、お客様の一人ひとりにコーヒーを一杯ずつ、ご馳走すること、これお忘れなく。

コーヒーカップをもちあげて、乾杯におよんだ御仁も、ひとしくこの罰を免れず。

声高なる口論、これつつしむべきなり。

悲観居士(ヒカンコジ)は、当店にはふさわしからず。

各位なごやかに歓談されたく、我をわすれて、激することなどなきように。
------------------------------------------------


この時代のイギリスのコーヒーハウスは情報交換や社交の場であったのですが、ゆえにこういった規律を求めたのかもしれませんね。

いかがですか?
今でも‥いや、今だからこそ気をつけたいマナーかもしれませんね。昔も今も人と人との関わり方、思いは変わらないのですね。

勿論、店側にもお客様にくつろいでいただける店創りと、多くの方の思いにこたえられる気遣い気構えが当然求められることを真摯に受けとめ、良い店創りに努めて参りたいと思います。

「珈琲博物誌」 伊藤博 著
「珈琲探究」 伊藤博 著

【資料1】
≪伊藤博≫
愛知県豊橋市の珈琲研究家。
故人ではありますがとても素晴らしいお方で、日本コーヒー文化学会の初代理事長でした。

私は伊藤氏に誘われて日本コーヒー文化学会に立ち上げから参加させていただき、今では理事を務めさせていただいています。

当時はとても懇意にしていただき、ずいぶん勉強させていただきました。伊藤氏は多くの珈琲の著書を残されていて、その中でも「珈琲探究」という本は歴史に残る一冊といってもいいほどの名著で是非お読みいただきたい本の一冊です。

【資料2】
≪当時のイギリスにおけるコーヒーを取り巻く歴史と世相≫
ヨーロッパで最初のコーヒー・ハウスは、イスラム世界との交通の要所であったヴェネツィアに1645年に誕生したと言われています。1650年にはイギリスにコーヒー・ハウスができました。 コーヒーハウスは新聞を読んだり、政治を論じたりといった男社会の交流の場でありました

カフェ(仏: café、伊: caffè)は本来コーヒーの意味ですが、今ではそれが転じて、コーヒーなどを飲ませる飲食店を意味します。ヨーロッパの都市に見られる飲食のできる店を意味し、飲食ができ、新聞や雑誌がそこで読め、時の話題について談笑し、情報交換のできる場所として親しまれています。

もともとコーヒーはイスラム世界に発するもので、オスマン帝国(トルコ)の首都イスタンブールには早くからカフェ・カーネス(コーヒーの家)が開業して、喫茶店兼社交場の機能を果たしていました。

清教徒革命期の1650年には、イギリスでは最初のコーヒーハウスが、ユダヤ人によりオックスフォードで開業されました。1654年に開業したクイーンズ・レイン・コーヒー・ハウスは形を変えて、現在も営業を続けています。近代市民社会が最も早く形成されたイギリス最初のコーヒーハウスは、1650年オックスフォードに作られた「ジェイコブス」です。その2年後に、アルメニア人のパスクァ・ロゼがロンドンにコーヒーハウスを開業して評判をとりました。その後、続々とコーヒーハウスが開店してして、30年後にはロンドン市内だけで、その数実に3000軒になったといわれています。

王政復古(1660年)、ロンドン大火(1666年)の時期を経て増加し、多くの客のたまり場となったコーヒーハウスは、酒を出さず、コーヒー、たばこを楽しみながら、新聞や雑誌を読んだり、客同士で政治談議や世間話をしたりして、近代市民社会を支える世論を形成する重要な空間となり、イギリス民主主義の基盤としても機能したといわれています。これだけ急速に増えていったコーヒーハウスは、当時、社会でどんな役割を果たしたのでしょうか。世界の海運保険会社で有名な「ロイズ」がコーヒーショップに集まる業者のやりとりから保険会社になったように、カフェはさまざまな取引や密談の場所だったのです。

「住所を聞くより行きつけのコーヒーハウスを訪ねろ」と言われたほど市民生活に溶け込み、全盛を誇ったロンドンコーヒーハウスも、18世紀後半には次第に衰退に向かっていきます。常連たちがより閉鎖的な同質化した環境を求めて作ったクラブや、当時、カフェは女人禁制だったので、女性が楽しめるティーハウスにかわっていったのです。1717年イギリスで最初のティー・ハウスであるゴールデン・ライアンズが開店し、その後、コーヒーに代わる飲料として、紅茶が市民女性たちも楽しめる、よりひらかれた「ラネラ」「ヴォクスホール」などのアトラクションつきのティーガーデンが続々と現れ人気になりました。19世紀にはいると、イギリスは紅茶(コーヒー貿易に乗り遅れたため)の国となり、人々の交流の場の中心はクラブやパブに移ってしまい、コーヒーハウスはほとんどが見なくなってしまいました。

近年、イギリスでは紅茶よりもコーヒーが多く飲まれるようになり、200年以上たってコーヒーの復活となりました。

PR情報

記事一覧

ヨーロッパに伝わったコーヒーとカフェのお話 Part.1

いつもありがとうございます。 1554年トルコのイスタンプールに世界で初めて出来たカフェ、「カフェ・カーネス(コーヒーの家)」その後、イスラ−ムからキリ…

2019/11/19

珈琲や!って何だ!?

9月30日、珈琲美美(博多)にて14:00〜16:00より日本コーヒー文化学会九州北支部主催の珈琲セミナーが大坊勝次さんと奥様の恵子さんをお迎えして行われま…

2019/10/18

夏の終わりの珈琲小旅行

いつもありがとうございます。暑い夏も終わりだんだんと秋の様相になって参りました。 最近、日本と韓国との関係が悪化したとのニュースがよく報道されていま…

2019/9/19

アイスコーヒーのバリエーション

いつもありがとうございます。 今年は梅雨が長く鬱陶しい日が続きました。空気中に湿気が多いと珈琲の焙煎も大変ですっきりしない日が多かったように思います…

2019/8/7

カフェ・ハウスとコーヒー・ハウス

いつもありがとうございます。 5月から7月にかけて、いろいろな国のCOE(カップ・オブ・エキセレンス)のカッピングとオークションが行われています。 …

2019/7/19

うれしい贈り物

いつもありがとうございます。 週休2日制にした働き方改革を実行してから一か月が過ぎました。なかなかなじめず、また、一週間のリズムがつかめなくて、前より…

2019/6/17

「新しい時代」の到来

いつもありがとうございます。いよいよ新しい時代「令和元年」が始まりましたね。 当店も42年の歴史の中で、時代の波を反映し「全面禁煙」「働き方改革」など…

2019/5/21

令和元年は新たな出発

いつもありがとうございます。 新元号が「令和」に決まり、5月1日より新しい時代の到来です。何か気持ちも新たになりますね! 今年のゴールデンウィークは10…

2019/4/12

素敵な珈琲屋訪問

いつもありがとうございます。 東海地区は昔から喫茶文化の盛況な地域で、特に名古屋や三河、岐阜などは全国でも喫茶店の数の多い地域としても、モーニングの…

2019/3/20

トルココーヒーと占い

いつもありがとうございます。 旧正月も過ぎ、初春をお慶び申し上げます。 一年に春夏秋冬があるように、一か月にも、一週間にも、一日の中にも季節のような浮…

2019/2/20

プロフィール

19

達人に質問をする

日本コーヒー文化学会 理事、日本スペシャルティーコーヒー協会会員(SCAJ)、SCAJ公認 コーヒーマイスター(NO.169)、前・金沢大学講師 (文部科学省公認)

1977年岐阜県瑞浪市に「待夢珈琲店」開店、コーヒーの歴史書や専門書を読みあさり、独学で焙煎を覚え、自家焙煎の珈琲専門店をスタートさせる。

その後、世界のコーヒー産地を自らの足で回り、納得のいく優良な豆を買い付け、良質で新鮮な体に良いコーヒーを提供しています。

また、現在、中日文化センターの珈琲教室をはじめ、基礎クラスから専門クラスまで12講座をこなしています。

産地歴訪はエチオピア3回、イエメン4回、ブラジル、インドネシア、ケニア、タンザニア、ペルーなど。

関連リンク

  • 会員登録
  • ログイン
今日の天気(17:00発表)
名古屋
曇り時々晴れ
15 ℃/4 ℃
東京
晴れ時々曇り
14 ℃/3 ℃
大阪
晴れ
15 ℃/4 ℃
  • 現在、渋滞情報はありません。
  • 登録路線が未設定です。

企画特集(PR)

  • 公式 Twitter はこちら
  • 公式 Facebook はこちら
クラウドファンディング 夢チューブ 中日新聞
東京新聞 電子版
中日新聞の人材研修 ビジネストレーニング「ビズトレ」
中日販売サポート
東海テレビ 庄野アナと 新聞を音読してみよう!
中日防災ナビ
こどもウイークリーのこーなー
過去の企画・特集