気功治療への道案内/十日目 2019/8/5

◆原穴を覚えよう!

梅雨が明け、猛暑の日々が続いていた。
おかげさまで我が愚庵は山辺にあり、障子や窓を開けているだけで木々の間を抜けてくる涼風が家の中を通り抜けていく。

「先生、前回、私の場合は脾の原穴の太白というツボを教えてもらいましたが、佳与さんの時は、私の肝が弱いということで、何処か足のツボを使っていたようなんですが、五行全体の肝、心、脾、肺、腎のそれぞれに用いる経穴を教えて頂けませんか?」
珍しく茉奈が先に口を開いた。

「いま、している練習は私たちが脈を診て、最も弱いと感じる脈に応じた経絡の原穴に気を入れる練習で、これは証を決めてする本当の治療ではありませんからね…」
すると、私の言葉に続いて佳与が口を開いた。
「ツボから気を入れると脈に変化が起こるのを確かめるという練習をしているということですね?」
「そうです。
だから、最も弱いと感じられる脈だけを用いているので、その基本になる原穴だけを用いて練習しているんですよね。」

「証を立ててする本格的な治療の場合には、用いるツボも違うということですか?」
と、茉奈が訊いた。
「そういうことになりますね。
でも、その段階に行く前に、いまの私たちは、脈を診て、弱い脈、つまり、虚の脈を見つける、そして、弱い脈に相当する経絡のツボから気を入れる、気を入れると脈が調われるという一連の作業を通して、脈を診る技術と、気を入れる技術を高めていくことに取り組んだ方が良いと思うんですよね。」
と、私は告げた。

佳与が手を挙げた。
「原穴は、練習に用いるだけですか?」
私は応えた。
「ちょっと難しいですが、経穴には、一般のツボと五行穴というツボ、5要穴という三種類のツボがありましてね、そうですねぇ、電車で言えば、特急しか止まらない駅、急行なら止まる駅、どれでも止まる駅みたいな感じで、かなり大事な経穴群、少し大事な経穴群、一般の経穴群という具合に、ツボにも色々な役割があって、いま私たちが勉強している原穴は、各経絡の中で、補にも瀉にも用いて良い基本になる優れもののツボなんですよ。」

私が言い終わると、佳与が、
「あのー、先生、まだ原穴、習ってません。」
と、笑いながら言った。
「そうでした、そうでした。」
そう言って私はホワイトボードを取り出し、次のように記した。

--------------------------------------------------------
肝 →太衝
心 →神門
脾 →太白
肺 →太淵
腎 →太谿
心包→大陵
--------------------------------------------------------

「では、この六つのツボの場所を覚えましょうか。」
そう言って、私は説明に入った。

説明についてはみなさんにわかりやすくするために、会話形式をやめて、まとめて書かせて頂きますね。

1、肝の原穴→太衝(たいしょう)
*足の甲側で、親指と第二指の骨の間を撫で上げてきて、二つの骨が合流するところにぶつかったところ。
*骨と骨の谷間。

2、心の原穴→神門(しんもん)
*掌側の手首の小指側で、手関節に出来る横紋の先端にあたるところ。
*手根部の小指側にある少し尖った骨の下際。

3、脾の原穴→太白(たいはく)
*足の親指側の内側で、親指の根っこにある丸くて太い骨の後ろ側の凹んだところ。
*親指の中足骨(足の甲にある細長い骨)の内側の下縁を指に向けて撫で下ろしていって、太い骨にぶつかったところの凹み。

4、肺の原穴→太淵(たいえん)
*掌側の手首にあり、脈を診る時に人差し指の当たるところ。
*寸の脈である肺と心を診るところ。

5、腎の原穴→太谿(たいけい)
*足首の内側にあり、内踝とアキレス腱との間にある凹み。

6、心包の原穴→大陵(だいりょう)
*掌側の手首にある横紋の真ん中。
*手首に縦に走る二本のスジ(腱)の間。

「では、今から、また二人で組んで、脈を診て、最も弱いところを見つけ、今日は、その経絡の原穴だけではなく、虚にあたる経絡の相生的に母にあたる経絡や相剋関係にあたる経絡の原穴などにも気を入れて、それぞれに脈の変化を診てみる練習もしてみましょうか。」
そう私は提案した。

「ということは…」
と、茉奈が目だけを上に向け、かんがえながら言った。
「例えば、脾が虚だと診た場合、脾だけでなく、脾の母に当たる心や脾の相剋にあたる肝の原穴にも気を入れて脈の変化を診てみるということですね? 」
すると、
「それ、私、まだよくわかんないから、茉奈さん、また教えてね。」
と佳与は言って、さっさと横になったのであった。

PR情報

記事一覧

よい味をだそう!/《ふぁんそん気功講話》6

●ブッダ最後の言葉 僕の好きな言葉に「釈尊最後の教え」を句(言葉)にしたものがあります。 釈尊が80歳の時に病で亡くなる前に弟子の阿南に伝えた言葉とされ…

2019/11/18

「天」を乗り越える「ふぁんそん気功」/《ふぁんそん気功講話》5

●天という言葉 みなさんは「天」という言葉を聴かれた場合、何を思い浮かべられるでしょうか? 「天高く馬肥ゆる秋」というような「天空」ですか? それとも「…

2019/11/11

空としての広がりを!/《ふぁんそん気功講話》4

●「ふぁんそん」の体感 ちょっと面白い実習をしてみましょうか。 何の実習かと言えば、それは胸板呼吸です。 実際の呼吸ではなく、息を胸の中に吸い入れた…

2019/11/4

自律神経のバランスを調えましょう!/《ふぁんそん気功講話》3

●恐怖が自律神経に働きかけた 一人の女性が夜道を歩いていました。 すると、後ろから誰かが付いてきている気配がします。 確かに歩調を合わせて靴音が着いて…

2019/10/28

ふぁんそんを日常の取り組みに!/《ふぁんそん気功講話》2

●僕の思い みなさん、こんにちは! 今回は、僕(和気信一郎)が普段から願っていること、みなさんにも実践して戴きたいこと、つまり、僕自身が日頃から心掛…

2019/10/21

病気のことは忘れて、気の心地よさに没頭せよ!/《ふぁんそん気功講話》1

●ごあいさつ みなさん、こんにちは。 今回から、新たに《ふぁんそん気功講話》というタイトルで、「ふぁんそん気功」についてのお話をさせて頂くことに致し…

2019/10/14

気功治療への道案内/十四日目(最終回)

◆修練に励みましょう 季節は移り、既に10月の声を聞いていた。 私の講習への依頼が幾つか入り、二人の娘たちとの時間的な折り合いがつかず、静観塾も少し間が…

2019/10/7

気功治療への道案内/十三日目

◆本治法に用いる経穴(ツボ)の名称と部位 台風15号が関東を襲った。 暑さは続いていた。 茉奈と佳与が元気な顔を現した。 私は、再度、基本の復習をしておく…

2019/9/16

気功治療への道案内/十二日目

◆基本的な経穴(ツボ)の取り方 私が夏季休暇を頂いている間に、季節はゆっくり動き、秋雨前線が日本列島に横たわり、またまた九州に大雨をもたらしていた。 …

2019/9/2

気功治療への道案内/十一日目

◆診察のヒント 台風10号が西日本に大雨を降らせ、大きな被害をもたらした翌日、お盆休みを終えた茉奈(まな)と佳与(かよ)が愚庵にやって来た。 「今回…

2019/8/19

プロフィール

16

達人に質問をする

鍼灸師・気功法講師。

和歌山県出身。日本福祉大卒。名古屋市内に鍼灸院「和気」を開院(2015年、閉院)。林茂美師に師事し気功を習得。愛知県名古屋盲学校専攻科非常勤講師(2016年退職)

現在は名鉄カルチャースクールにて講師活動のほか、名古屋市内にて各種の気功講座、気功教室を担当。

また、2013年より京都、妙心寺内大心院にて気功講習会を開始。現在に至る。

趣味は、陶芸、京都・奈良ウォークなど。

  • 会員登録
  • ログイン
今日の天気(17:00発表)
名古屋
晴れ
16 ℃/5 ℃
東京
晴れ時々曇り
15 ℃/7 ℃
大阪
晴れ
16 ℃/7 ℃
  • 東名, 名神, 東名阪道で渋滞情報あり。
  • 登録路線が未設定です。
  • 公式 Twitter はこちら
  • 公式 Facebook はこちら
クラウドファンディング 夢チューブ 中日新聞
東京新聞 電子版
中日新聞の人材研修 ビジネストレーニング「ビズトレ」
中日販売サポート
東海テレビ 庄野アナと 新聞を音読してみよう!
中日防災ナビ
こどもウイークリーのこーなー
過去の企画・特集