珈琲や!って何だ!? 2019/10/18

大坊勝次氏

9月30日、珈琲美美(博多)にて14:00〜16:00より日本コーヒー文化学会九州北支部主催の珈琲セミナーが大坊勝次さんと奥様の恵子さんをお迎えして行われました。

タイトルは
「珈琲や!って何だ?!」

とても大きなテーマですが、それぞれが自分の意見を持ち寄りディスカッション形式で行われました。

まずはじめに、大坊さんが珈琲を淹れ、それぞれ順に全員が頂きました。いつものようにゆったりながら凛とした姿勢で、一滴一滴とても丁寧に抽出されます。今回はドゥミタスに近い濃度の濃い珈琲でしたので、苦味とコクと後に残る甘味のしっかりしたエキスに仕上がっていました。待夢珈琲店では過去に4度大坊さんをお呼びして会を開きましたが、それぞれに味が微妙に変わって(進化)いたように感じていましたが、今回の珈琲もまた今までとは違い、甘味の後に現れる息の長いさわやかで絶妙な酸味の珈琲に仕上げていました。

昔から大坊さんは、焙煎による味を数字の7.00を基調に表現されています。アラビカ種のコーヒーは酸味と甘みと香りが豊かなコーヒーですが、焙煎濃度が進行していくと酸味が少なくなり、逆にだんだんと苦味が増していきます。以前の大坊さんは、酸味が0になり一番甘味(カラメル化した)が感じられる7.00で味を作っていました。コクと苦味と甘味のバランスが絶妙で、酸味がほとんど感じられない味創りだったと思いますが、最近はほのかな酸味を加えているような気がします。酸味は香りと甘味を長く引き出し、後味が爽やかで飲み終えた後に自然にまたカップを手にします。強すぎることなく弱すぎることなく、すべてのバランスを整えてくれる役割としてとても重要です。

「上善如水」

今なお年々進化している「大坊珈琲」に驚きと感動を覚えました。

今回の会のメンバーによる記念写真

その後、質疑応答となりました。今回は30名限定の会で、ほとんどの方が珈琲屋でしたのでとても内容の濃い質問が飛び交い、大坊さんも答えに苦慮していました(笑)

「珈琲や!って何だ」

私は、この日の会までに、「珈琲屋って何だ?喫茶店と珈琲屋の違いは何だ?」と140名程いる自分の生徒全員にこのテーマを投げかけました。「珈琲にこだわっているお店」、「珈琲だけの店」「焙煎をしている店」などなど、店の形態によって分けている方が多いようでした。

それぞれいろいろな意見が出てとても楽しく勉強になりましたが、正解はありませんし、これという絶対的な答えがあるわけでもありませんのでとても難しい質問ですので、自分自身の定義付けで決めるしかないのかもしれません。

私自身、珈琲屋とは、「珈琲の魅力と文化を伝え未来に繋げている店」と定義付けています。珈琲の長い歴史の中で、先人の方々から繋いでいただいた今の良き珈琲の世界、魅力を多くの方に伝え、次の世代によりよい珈琲として繋げていく事が「珈琲屋」の使命ではないかと考えています。

会終了後、場所を変え懇親会を行いましたが、ほとんどの方が参加され夜遅くまで盛り上がりました。今回の博多出張は、お久しぶりに大坊さんの珈琲が飲め、お話も出来、夜はご一緒にお酒も酌み交わしとても楽しい時間を過ごすことができました。富士ローヤルの福島さんや、岡山市珈琲折り鶴の藤原さん、ライターの小坂さん、韓国の金奈伶さんやマスカル珈琲店の宮崎さん、豆香洞の後藤さん、珈琲蘭館の田原さん、珈琲萌香の帆足さんなど福岡の若手のホープの方々にも会えてとても嬉しかったです。

大坊さんには1年ぶりにお会いしましたが、これからも元気でこの素晴らしい珈琲と思いを多くの方々に提供し続けて頂きたいと願っています。

森光氏の遺影と大坊氏のツーショット

珈琲屋・大坊さんと森光さん(遺影)のツーショットがとても印象深く心に残った珈琲日和でした。


もう一つの収穫として、今回、一冊の素晴らしい本に出会いました。

株式会社 富士珈機から出版された「五体の機械」です。

「五体の機械」・・富士珈機 刊

福岡のライター・小坂章子さんが編集に携わり、日本の珈琲文化にはなくてはならない焙煎機とコーヒーミル製作を題材にして、地球の誕生から現代に至るまでの鉄の重要な役割を古代中国に端を発する自然哲学の「五行思想」などにも触れ説明しています。
富士珈機の物作りMADE IN JAPANの手作りの歴史、本質が書かれています。
そうして作りだされた物(焙煎機など・・)から生まれた珈琲文化。
銀座ランブル・関口一郎氏(故人)と富士珈機社長の福島さんとの貴重な対話、博多・珈琲美美さんの珈琲への思い、大坊さんの手廻し焙煎機の味創りの真髄なども対談方式で書かれていて、とても貴重で素晴らしい本です。
手回しも含めて機械焙煎をしている方には是非ともお読みいただきたい一冊です。
富士珈機(株)のホームページより購入できますし、当店でもお取扱いしています。
一冊・・・5,000円+消費税

≪資料≫
「コーヒーの焙煎」    
精製された生のコーヒー豆は焙煎されて、初めて実際に我々が口にするコーヒーの香りと味を生み出す。多くの場合、この工程は消費国でなされ、ロースターと呼ばれる大手のコーヒー豆卸業者や自家焙煎の珈琲店や豆売り専門店などで焙煎され焙煎珈琲豆となる。一部の愛好家の中には自分で生の豆を購入して焙煎して楽しんでいる人もいます。

焙煎は焙煎機と呼ばれる専用の機械で行われますが、フライパンや焙烙、手網ギンナン煎り器などを使い家庭でも手軽に焙煎することも可能です。

焙煎方法は熱源などの違いによって以下のように分類される。
• ガスの直火焙煎、半熱風焙煎、熱風焙煎
• 遠赤外線焙煎
• マイクロ波焙煎
• 過熱水蒸気焙煎
• 炭火焙煎・・・などです。

焙煎方法によってそれほどの香味の違いはありませんが、いずれに於いても、香味を決める一番重要な要素は「焙煎濃度」です。

まず、好みの珈琲豆を選ぶときに、コロンビアやブラジルなど産地や何々ブレンドを優先して選んでいる方が大変多くいますが、豆を選ぶときはまず豆の「焙煎濃度」を第一優先にしてください。コーヒーは同じ豆でも焙煎濃度が違えばまったく違った香味や味になります。極端な事を申し上げれば、コロンビアの一種類だけでも、焙煎濃度を変えれば何十、何百の違った香りや味のコロンビアが出来るのです。

焙煎濃度が浅い(ライト〜ミヂィアム)と苦味が弱く酸味が豊かでフルーティな香りが楽しめます。苦味が苦手な方や刺激の弱いコーヒーを好む方にはこの焙煎濃度のコーヒーを選べば良いと思います。

焙煎濃度が中(ハイ〜シティ)くらいですと苦味と酸味のバランスが良く、コーヒーが本来持っている果糖(果実の糖)の甘味が感じられ、日本人が好むブラックコーヒーには一番向いています。実際この焙煎濃度を好む方はとても多いですので、ジャパニーズローストと呼んでも良いくらいと私は思っています。

焙煎が深い(フルシティ〜イタリアン)と、苦味とコクが強く酸味はほとんど感じられなくなり、コクの強い味となり、香りはロースト臭といわれる芳ばしい香りにかわります。通称コーヒーマニアといわれる方々はこのロースを好む傾向にあります。また、ミルクや砂糖などを入れるにはとても合う焙煎濃度です。

焙煎濃度を正確に表すには「L値」があります。

※L値とは?焙煎度を測る専門的な数値。黒を0、白を100とした測色法で、明度をあらわす数値です。焙煎の度合いが進み、色づきが濃くなるにつれて数値はだんだんと0に近づいていきます。珈琲の焙煎濃度には大きく分けると8段階で表願されます。

1.「 ライトロースト(Light roast)」・ L値:30.2、
うっすらと焦げ目がついているぐらいの浅い煎り方。色は黄色がかった小麦色で香りや味などはまだ不十分なので、この状態で飲まれることはあまりありません。

2. 「シナモンロースト(Cinnamon roast)」L値:27.3 
色はシナモン色になるぐらいの浅い煎り。香りと味はまだ薄く、酸味を強く感じます。通称、アメリカンコーヒーと言われる薄くて軽いコーヒーなどに向いています。

3. 「ミディアムロースト(Medium roast)」L値:24.2、
色が明るい茶色になるぐらいの煎り方。軽い苦味とフルーティーな酸味とほのかな甘味(果糖)が感じられます。

4. 「ハイロースト(High roast)」L値:21.5、
ミディアムローストよりやや深い中煎りの焙煎濃度です。一般的にブラックでコーヒーを飲む日本人が好むローストです。
酸味もほどほどで苦味もほどほどで甘味(果糖)が一番感じられるーヒーです。

5. 「シティロースト(City roast)」L値:18.5、
酸味が減少して苦味やコクが増し、ロースト感が少し感じられます。香味豊かで複雑な味わいが一番多く出るこのローストも日本では割合好まれる焙煎濃度です。

6. 「フルシティロースト(Fullcity roast)」L値:16.8、
酸味がほとんど感じられなくなり、だんだん苦みが強くなってきますが苦味の後に甘味(カラメル化した)が感じられます。コクのあるコーヒーやアイスコーヒーが好きな人に好まれ、本格的なしっかりとした味の焙煎濃度です。

7. 「フレンチロースト(French roast)」L値:15.5、
強い苦味とロースト感の強い香りが特徴です。苦味が強く濃度が深いので、カフェ・オ・レやウィンナーコーヒーなど、
ミルクと合わせるアレンジコーヒーなどに向いています。デミタスなど、マニアのコーヒーといわれる焙煎濃度。

8. 「イタリアンロースト(Italian roast)」L値:14.2、
豆の色は墨に近くかなり黒っぽいです。強い苦みが特徴で、酸味はほとんど感じられません。濃い割に味わいは軽くなるので、エスプレッソやカプチーノなどに向いています。

PR情報

記事一覧

ヨーロッパに伝わったコーヒーとカフェのお話 Part.1

いつもありがとうございます。 1554年トルコのイスタンプールに世界で初めて出来たカフェ、「カフェ・カーネス(コーヒーの家)」その後、イスラ−ムからキリ…

2019/11/19

珈琲や!って何だ!?

9月30日、珈琲美美(博多)にて14:00〜16:00より日本コーヒー文化学会九州北支部主催の珈琲セミナーが大坊勝次さんと奥様の恵子さんをお迎えして行われま…

2019/10/18

夏の終わりの珈琲小旅行

いつもありがとうございます。暑い夏も終わりだんだんと秋の様相になって参りました。 最近、日本と韓国との関係が悪化したとのニュースがよく報道されていま…

2019/9/19

アイスコーヒーのバリエーション

いつもありがとうございます。 今年は梅雨が長く鬱陶しい日が続きました。空気中に湿気が多いと珈琲の焙煎も大変ですっきりしない日が多かったように思います…

2019/8/7

カフェ・ハウスとコーヒー・ハウス

いつもありがとうございます。 5月から7月にかけて、いろいろな国のCOE(カップ・オブ・エキセレンス)のカッピングとオークションが行われています。 …

2019/7/19

うれしい贈り物

いつもありがとうございます。 週休2日制にした働き方改革を実行してから一か月が過ぎました。なかなかなじめず、また、一週間のリズムがつかめなくて、前より…

2019/6/17

「新しい時代」の到来

いつもありがとうございます。いよいよ新しい時代「令和元年」が始まりましたね。 当店も42年の歴史の中で、時代の波を反映し「全面禁煙」「働き方改革」など…

2019/5/21

令和元年は新たな出発

いつもありがとうございます。 新元号が「令和」に決まり、5月1日より新しい時代の到来です。何か気持ちも新たになりますね! 今年のゴールデンウィークは10…

2019/4/12

素敵な珈琲屋訪問

いつもありがとうございます。 東海地区は昔から喫茶文化の盛況な地域で、特に名古屋や三河、岐阜などは全国でも喫茶店の数の多い地域としても、モーニングの…

2019/3/20

トルココーヒーと占い

いつもありがとうございます。 旧正月も過ぎ、初春をお慶び申し上げます。 一年に春夏秋冬があるように、一か月にも、一週間にも、一日の中にも季節のような浮…

2019/2/20

プロフィール

19

達人に質問をする

日本コーヒー文化学会 理事、日本スペシャルティーコーヒー協会会員(SCAJ)、SCAJ公認 コーヒーマイスター(NO.169)、前・金沢大学講師 (文部科学省公認)

1977年岐阜県瑞浪市に「待夢珈琲店」開店、コーヒーの歴史書や専門書を読みあさり、独学で焙煎を覚え、自家焙煎の珈琲専門店をスタートさせる。

その後、世界のコーヒー産地を自らの足で回り、納得のいく優良な豆を買い付け、良質で新鮮な体に良いコーヒーを提供しています。

また、現在、中日文化センターの珈琲教室をはじめ、基礎クラスから専門クラスまで12講座をこなしています。

産地歴訪はエチオピア3回、イエメン4回、ブラジル、インドネシア、ケニア、タンザニア、ペルーなど。

関連リンク

  • 会員登録
  • ログイン
今日の天気(11:00発表)
名古屋
晴れ時々曇り
14 ℃/--
東京
晴れ
17 ℃/--
大阪
曇り時々晴れ
15 ℃/--
  • 東名で渋滞情報あり。
  • 登録路線が未設定です。

企画特集(PR)

  • 公式 Twitter はこちら
  • 公式 Facebook はこちら
クラウドファンディング 夢チューブ 中日新聞
東京新聞 電子版
中日新聞の人材研修 ビジネストレーニング「ビズトレ」
中日販売サポート
東海テレビ 庄野アナと 新聞を音読してみよう!
中日防災ナビ
こどもウイークリーのこーなー
過去の企画・特集