【第57回】地元を元気にする「源」は仕入れ力とご当地愛 和歌山「松源」 2019/11/8

松源 和歌山インター店

和歌山市で1961年創業の「松源」は、現在、和歌山と大阪を中心に40店舗展開するご当地スーパー。純和風な名前は、創業者・松本源蔵氏に由来し、来年で創業60年を迎える。

店は広く、清潔感あり、ご当地食もスゴかった! 食のアドベンチャーワールドとも言える「松源」は、良質でおいしい商品と新鮮な魚介類、それから超レアなご当地食まで、大発見の連続だ。
※アドベンチャーワールドはパンダやイルカをはじめ、動物や自然とのふれあいをテーマにした南紀白浜のテーマパーク

松源 和歌山インター店は、市街地から移転した本社に隣接する形で、2011年に開店した旗艦店だ。和歌山駅から6km足らずの、農地に囲まれた住宅街のバイパス沿いにあり、同じ敷地内に並ぶ飲食店の建物のゾーンとは、広大な駐車場で繋がっている。それは、まるでアメリカのショッピングセンターのような大らかな空間で、都会にはない開放感に満ちている。

ただ、逆に言えば、少し不便な場所ではある。

(上)松源 和歌山インター店店内、(下)お買い物バス情報は店内の大モニターでも知ることができる

そこで和歌山インター店では曜日とエリア別に、「松源お買い物バス」の無料運行を実施することでその問題を解決。シルバー世代も、運転の心配をせずに安全に自分で来店できるというわけだ。なんとも住民ファーストなサービスである。

【魚自慢の松源】

(左上)漁港に水揚げされ、各店に分配される魚(写真提供:松源・大友様)、(右上)松源店内鮮魚売り場の賑わい、(下)ギラギラ輝く新鮮な太刀魚

魚の宝庫、紀伊水道を臨む有田市辰ヶ浜漁港は、太刀魚(たちうお)の漁獲高日本一を誇る港で、もちろん太刀魚だけでなく多くの種類の魚が水揚げされている。松源のバイヤーは、この辰ヶ浜漁港でのせりに参加し、直接 買い付けた魚を店舗別に分配し、港から直送。さらに大阪泉佐野漁港からも旬の魚が入るため、「魚の松源」を自負する。

なかでも、魚惣菜がピカイチと、松源の社員が異口同音に名前を出すのが「松源 岩出中迫(いわでなかぶさ)店」だ。

(上)松源 岩出中迫店、(右上下)鮮魚売り場から続く魚の惣菜部、(左下)骨せんべい198円/松源

新鮮な魚が並ぶその先に、鮮魚売り場と同じだけ広い魚惣菜コーナーをもつ岩出中迫店の魚惣菜部で大人気商品は、普通は捨てられてしまう魚の骨を揚げた「骨せんべい」だ。日本酒やビールにもぴったりのカリカリの唐揚げといった絶妙な味つけで、カルシウムもたっぷりとくれば、ファンは多い。しかし完全な手づくり品のため、当然、店頭に並ぶとあっという間に売り切れてしまう。「商品として出すために、店でおろしたヒラメの骨を冷凍でストックしている。カリカリに仕上げるコツは、手間はかかるが揚げる前の乾燥が大事」と、そのおいしさの秘密を教えてくれたのは、魚惣菜部を背負って立つスゴ腕調理人、小谷政夫氏だ。

「ひと手間惜しまず」は、同社の元・水産バイヤーだった、小谷さんの、魚、漁師、そしてお客様への愛情あふれる信念だ。

(左上)裏メニューをもつ小谷夫妻、(右上下)魚屋さんのカレーとその材料、(下)ポップがユニーク

評判を聞いて急遽うかがったにもかかわらず、焼きもの、揚げ物、煮物など25種類以上の魚料理が並び、ともに働く奥様の手描きと思われる優しい文字のポップがさらにいい味をだしていた。なかでも気になったのはポップに書かれた「裏メニューあります」の文字。バックヤードでは、カレーのベースとなるフォンドヴォを仕込み中で、これもまた手間ひまかけてつくる魚惣菜部の名物となっている。味は洋食店のカレーのような、素材の旨味を生かした本格派。「でも魚は?」と聞くと、「魚とは関係なく、お客さんに喜んでもらえるから」と楽しげな小谷氏は、おいしいもので人を笑顔にしたいと願っている、魚料理だけでなくスゴ腕の料理人に違いない。


【お値打ちの松源オリジナル商品

さて、本社に隣接する和歌山インター店に話を戻そう。
松源では、味がよく、しかもお値打ちであることから売れ筋となっている、「松源オリジナル商品」が存在する。

(左上)松源あんぱん、(右上)特製牛めし、(左中)極上 松源ひかり、(左下)松源オリジナル 濃厚な2種のケーキ、(右下)特製コロッケ

〜オリジナルvs.ヤマザキパン〜
松源あんぱん(つぶあん)128円
松源の店内ベーカリーで焼かれている、コロンとした四角いフォルムに「源」の焼印が印象的なあんぱん。おそらく松源オリジナル商品のなかで、もっともSNSにあげられているグッドルッキングな商品だ。つぶあんとホイップクリームのコンビネーションは、和洋両方の甘党を魅了する最強スイーツ。すると、なんとヤマザキパンとのコラボで「ホイップあんぱんマツゲン」(128円)も誕生。もしも全国展開してくれるならば、「源」の焼印も押して欲しいところだ。

〜牛肉消費量日本一! 和歌山県〜
松源名物 牛めし 780円
2016年の総務省の家計調査で「牛肉消費量日本一」になった和歌山県。それゆえ松源でも上質な牛肉を求めた結果、たどりついたのが宮崎牛で、精肉売り場でもA-4クラス以上の宮崎牛を販売している。じつは「肉の松源」でもあるのだ。その肉を使った牛めしは、宮崎牛の旨味をじゅうぶんに感じることができる厚さでありながらとろけるおいしさで、すき焼きを食べているかのような甘めのタレがご飯によく合う、文句なしのおいしさ。ハーフサイズ(398円)もあり。2019年お弁当・お惣菜大賞の丼部門で特別賞受賞の品。

そういえば・・・味覚の記憶が蘇る・・・私も審査員として高評価をしたことを。また会えて幸せ。


〜松源のドル箱スター〜
極上 松源ひかり 5kg 2180円
松源のプライベートブランド米の最上品で売れ筋No.1が「極上 松源ひかり」。全国の良産地から選んだ厳選米のブレンド米で、上品な口当たりとほのかな甘みで、どんなおかずも引き立たせる深い味わいだという。このほかに、売れ筋No.2特選 松源ひかり、No.3松源小町など自社ブランドが続く。松源によれば、同社の売り上げの中核をなすのが米となっており、通販でも販売しているほどの人気商品。 

〜まだある人気のうまいもの〜
「リッチな味わいなのにリーズナブル」と評される松源のオリジナル商品の種類は多岐に及び、多くの顧客に選ばれている。「松源オリジナル 濃厚ベイクドチーズケーキ」「松源オリジナル 濃厚ショコラケーキ」も、4〜5人で切り分けて食べられるボリュームと本格的な味で399円! 「特製 旨味あふれる牛肉入りコロッケ」は、「牛肉入り」の文字が控えめな割に、その断面にはたっぷりの牛ひき肉を確認することができる、まさに牛の旨味がたっぷりじゃがいもに染み込んだ主役級コロッケ。それなのに1個88円とは!

確かに、地元テレビで流れる「松源CMソング」冒頭のフレーズ、「今日も予算が余ったわ 今日も貯金が増えてくわ(中略)マツゲン マツゲン みんなのマツゲン」と小躍りしたくなる気持ちを、完全に理解することができた。


【超レア・ご当地食の宝庫】

〜和歌山県民の自由な発想はまさにアドベンチャー〜
ふつう、地元食というと、地域特有の味の好みを基本としているため、解説しやすいのだが、和歌山県のご当地食は自由な発想と多彩な食材という恵まれた環境のためか、その方向性はさまざまだ。それはまるで、パンダは屋外で遊ぶし、イルカショーも見られて、ゾウやキリンに直接エサをあげられるテーマパーク「和歌山アドベンチャーワールド」的な、すべてが主役級の驚きに満ちている。
地元では「中華そば」と呼ばれている「和歌山ラーメン」。スーパーでも、和歌山ラーメンの代表格と言われる、こってり濃厚豚骨醤油スープの「井出商店」や、醤油の旨味と魚介・鶏ガラのダシがきいたスープにちぢれ太麺が絶品の話題の店「和ダイニング清乃」など、名店の味を持ち帰ることもできるのは、楽しい。

(左上下)売られている和歌山らーめん、(右)地元ではらーめんのおとも、「早すし」

〜こってりスープに酢飯が本当に合うのか?〜
早すし 133円/紀ノ川寿司本舗
その和歌山ラーメンを出す店には、なぜか「早すし」なるものがテーブルに置かれていて、客はラーメンが出てくるまでの間、セルフにて食べて待つ(有料)と、松源の商品部の方に教えてもらった。中身は和歌山名物の鯖の押し寿司で、酢や生姜風味がこってりスープの和歌山ラーメンによく合うのだという。押し寿司にしては薄っぺらく、ほんの一口程度のため、「ラーメンだけではちょっと足りない」という声に応えたものなのかもしれない。なお、「早すし」とは、酢を使いすぐに食べるタイプの現代の寿司で、一方、「遅すし」と言えるのは、魚の塩漬けとご飯を自然発酵させた「なれずし」となる。


〜アヒルキャラ、グリーンちゃんが目印〜
てんかけラーメン 1食入 257円/玉林園
グリーンソフト ほうじ茶ソフト 各170円/玉林園

(上から)てんかけラーメン、グリーンソフト、ほうじ茶ソフト

いわゆる和歌山ラーメンとは系統が異なるが、間違いなく和歌山市民のソウルフードが、てんかけラーメンと、グリーンソフト。このメニューが食べられる店「グリーンコーナー」は、創業江戸時代というお茶葉専門店・玉林園が、昭和37年に抹茶入りソフトクリーム店をオープンさせたあと、5年後にてんかけラーメンを生み出した。具は天かす、わかめ、生姜で、スープはうどんだしのように飲み干せるのが特徴。グリーンソフトは、てんかけラーメンの食後のデザートにぴったりなあっさり系で、店でも家でもグリーンコーナーが好きでたまらないようだ。名古屋のスガキヤに似た存在だろう。
香ばしい茶葉が香る「ほうじ茶ソフト」は、最近発売された味で、オススメ。

(左上)ほねくなど和歌山独自の練り物が豊富、(左下)甘いえびせんをぜひ一度、(中)ダイナミックタレの文字に注目、(右)醤油発祥の地の湯浅醤油 九曜むらさき

〜和歌山の骨太な練りの世界〜
ほねく108円/有田蒲鉾
「ほねく」とは「骨くり天ぷら」のことだと商品裏に書かれているが、骨くり=骨ごとという意味である。とりわけこの商品は、太刀魚のすり身を利用しており、じつに太刀魚の水揚げトップクラスの有田らしい商品だ。練り物全般、特産品となっており、平天やごぼ天も定番。

〜小さい容器のダイナミック〜
焼肉・ホルモンのタレ ダイナミックタレ 小180円/ダイナミック食品
容器が独特で忘れられない、食べてまた忘れられないダイナミック。和歌山県下のスーパーならだいたい扱いのある定番商品で、県民に愛されている味噌味の焼肉・ホルモンのタレだ。昭和40年創業のときと変わらぬ味とお馴染みのダイナミックタレのロゴは、大物書家によるもの。本当のダイナミックとはこういう感じなんだと悟る。

〜えび+砂糖のすご魔力〜
えびつまみ砂糖ふり(贈答用)1000円/亀本
えびせんなのに、砂糖味。食べるのに少々の勇気が必要だが、食べてびっくり! 粒子の細かい砂糖と生地に塩気のあるえびせんが、見事な調和をみせて、あと引く銘菓だ。有田市には同じような砂糖味のえびせんをつくるメーカーが全4軒。お菓子売り場には通常サイズ(220g)もあるが、地元のちょっとした贈答品や土産として、700g入りの箱入りが選ばれている。

〜お土産に最適!醤油発祥の地のたまり醤油〜
湯浅醤油 九曜むらさき 500円/丸新本家
醤油発祥の地とされている、和歌山・湯浅は、金山寺味噌の発祥地でもある。その金山寺味噌の製造過程で味噌だるに溜まるものが、本当の「たまり醤油」だ。まさにこの貴重なたまり醤油を商品したものが湯浅醤油 九曜むらさきで、金山寺味噌に使う野菜の旨味も凝縮され、塩分控えめで旨味たっぷり。刺身や肉料理など、何にでもマッチする。


【食とスポーツの殿堂】
松源がいかに魅力的であるか、これらの品揃えをみれば明らかだが、それだけではなかった。じつは、松源相撲部、マツゲン箕島硬式野球部など、スポーツへの支援に熱心に取り組み、各部とも好成績。スポーツ入社のルーキー達が社員の平均年齢をグッと下げ(平均年齢35.1歳)、活気ある企業にしている。また 和歌山県有田市にはマツゲンの名のついた野球場も 有り、地域のみなさんにとって松源は、食と運動の両面から健康をサポートしてくれる、身近な存在でもあるのだ。

『松源 和歌山インター店』
和歌山県和歌山市田屋138番地
OPEN 9:00〜21:00
TEL 073-461-6091

『松源 岩出中迫店』
和歌山県岩出市中迫562-1
OPEN 9:00〜20:00
TEL 0736-67-7760



※記事中の価格は税別価格で取材時のものです。また紹介した商品は常時取り扱いがあるとは限りません。

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サラリーマンの夫の転勤で国内外の転居を繰り返す中、スーパーの研究を始める。2012年に出版した著書が話題となり、出演したテレビ番組で紹介した岐阜県高山市の隠れた日常食「あげづけ」が大ブレーク。現在は、テレビ出演や新聞・雑誌の連載、講演活動をこなしつつ、子育ての隙をみて、自腹で全国のご当地スーパーを行脚。埋もれた日常食の発掘とその魅力を伝えている。新刊「東海 ご当地スーパー 珠玉の日常食」(ぴあMOOK中部)

著書/『日本全国ご当地スーパー掘り出しの逸品』『日本全国ご当地スーパー 隠れた絶品 見〜つけた!』(講談社)

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