くじら座の変光星ミラがいつにも増して明るい?! 2019/12/5

くじら座はみなみのうお座ノフォマルハウトとおうし座のアルデバランの間にある大きな星座

 秋の一つ星とも呼ばれるみなみのうお座のフォーマルハウトとおうし座のアルデバランの間は、これといった目立つ星が見当たらないが、くじらと言うには化け物の星座、くじら座が横たわっている。そのくじらの胸元で光る星ミラは、あるときは2等星として輝き、またあるときは10等まで暗くなり夜空から姿を消してしまうという人騒がせな星だ。

ミラは、約332日の周期で2等級から10等級まで明るさが変化する脈動変光星

 この星の明るさが変わることを最初に発見したのは、ドイツの牧師ファブリチウスだった。彼は1596年8月13日の夜、偶然目に入った3等星が、これまでの星図に載っていないことに気がついたのである。ファブリチウスは以後この星の観測を続け、8月末に2等になり、その後どんどん暗くなって10月には見えなくなってしまったことを発見した。しかし、ファブリチウスは周期的に明るさを変える変光星であることまではわからなかった。この星が周期変光星であることは、1600年代になって多くの人が継続観測をしてやっと確認されたのだ。ミラという名は、この星を熱心に観測をしたヘベリウスが、ステラ・ミラ(不思議な星)と呼んだことから名付けられたという。ミラクルのミラでもある。ちょうどくじら座の胸元で光るこの星、変光がまるで化けくじらの心臓の鼓動のようにも見える。

ミラは寿命を迎え不安定となり縮んだり膨らんだりして明るくなったり暗くなったりする

実はミラは、周期331.6日という長いサイクルで、星自身を縮めたり膨らませたりしながら、2等から10等まで壮絶に明るさを変える脈動変光星で、縮んだ時に内部が高温になり明るくなる。これは星の一生の終わりを迎えた赤色巨星の姿なのだ。
ただ、不思議な星だけあって、変光周期も変光範囲もバラツキがある。極大日は平気で1ヶ月もずれることがあるし、極大光度も必ずしも2等級になるとは限らないのである。この気まぐれ変光星ミラが、11月中旬から12月中旬に約11ヶ月ぶりに極大光度を迎える。

10月13日には、デネブカイトスよりやや暗くメンカルとほぼ同じ明るさになっていた

 くじら座は晩秋に見ごろとなる星座なので、11月の今は、くじら座を見るには最高の季節、明るくなったミらを見る最高のチャンスというわけだ。11月中旬にくじら座が南中するのは午後10時ごろ、そのときのミラの高度は50°に達している。今年は例年になく明るくなっているので、このチャンスにぜひともなかなか見られない不思議な星ミラを見てみよう。

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天文研究家

1953年三重県四日市市に生まれる。学生時代は名古屋市科学館山田卓先生の下で天文普及活動に参加。天体望遠鏡メーカーに勤務の後、1992年にフリーとなり星を見上げる楽しさを広めるべく、あさだ考房を設立。

天文・科学雑誌に記事を連載、単行本・プラネタリウム番組シナリオ執筆のかたわら、天文宇宙関連の講演・講座、プラネタリウム解説を行っている。

最近は、生涯教育を意識した、プラネタリウム運営支援、プラネタリウム解説指導にもかかわっている。日本天文学会会員、NPO法人アイ・プラネッツ理事長。

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