禅に学ぶ気功の道・3/《ふぁんそん気功講話》13 2020/1/20

体内の感覚や気の感覚を体感しながらの「気の訓練」を進めていくうちに、僕たちはこれまで感じたことのないような得も言われぬ心地よさを体感することになってきます。

「これがふぁんそん感覚か」、「これが空の体感か」といったような新しい感覚に見舞われて来るんですね。

体の中が温かい空気に満たされているような心地よい感覚で、その感覚を体感しているだけで、ほかの気の訓練はしなくても満足できるようになってくるんです。

勿論、これは、「緩感貫採練(かんかんかんさいれん)」のあらゆる訓練をある程度まで実践した段階で起こってくる感覚なので、何をすればそうなるのかといった具体的な練習方法はありません。

ただ、あらゆる訓練を完璧にこなせるようにならないと体感できないかと言えばそうではありません。

スワイショウや気のボールづくりの段階で、また、気功流手当てや気の泡での洗い流し、気功流軟酥の法などをしていると、或いは、その練習の後で体内感覚に没頭していると、得も言われぬ感覚は現れてくるんですね。

このように、気の訓練が楽しいという段階から、新たな心地よさの感覚に満たされていく段階が禅で言う「離喜妙楽」ではないかと思います。

これが、禅での色界の第三段階に相当するんでしょうね。

この色界、即ち、自分の肉体を対象として体感していた段階での四禅は「離喜妙楽」から更に発展し、「非苦非楽」の段階に至って行きます。

妙楽という得も言われぬ体感の中で、日常的な、或いは俗世間的な苦しみが無くなっていくのは勿論ですが、日常的な趣味や道楽などに対して執着しているような楽しみ方から離れ、そういったものに喜びや楽しみを見出さなくても良くなる、新たな精神的な段階に至るんですね。

言ってみれば、ストレスが無くなっていくだけではなく、ストレス解消をしなくても良くなるような新たな心境を会得するんだと思います。

そして、禅と同じように、気功も肉体を対象としていた段階から、肉体ではないもの、即ち「気」や「ふぁんそん」を対象とした気功に進んでいくんですね。

それが禅で言うところの色界から無色界へのランクアップだと思います。

この無色界にも四つの段階があるそうですが、これらの段階は色界の四禅のようなはっきりした差がないように感じています。

どんな境地なのかと言えば、

1、空無辺処(くうむへんしょ)。
2、色無辺処(しきむへんしょ)。
3、無所有処(むしょうしょ)。
4、非想非非想処(ひそうひひそうしょ)。

の四つです。

「処」というのは境地、心境のことなんですね。

まず、空は無辺であるという境地になります。

体内感覚であった「ふぁんそん感覚」が皮膚を越えて外に広がり、空の体感として、それが無辺に膨らんでいるといった境地になるのでしょう。

それは、自分の肉体が肉体という縛りを越えて無辺に広がっているという境地にもなるのだと思います。

そして、いつしか自分か空か、空か自分かさえの区別のつかない境地(無所有処)になり、最後は、空と自分との二つに想いが有るようで無い、無いようで有るといった境地(非想非非想処)になるというのです。

正に深い瞑想状態なんでしょうね。

僕は、気の感覚や「ふぁんそん」の感覚を体感しながらもそれに縛られず、この宇宙と一帯になったような「自由な気の舞」を舞えるようになることが気功の一つの到達点だと考えているんですが、白隠禅師の坐禅和讃という経典の一節に

「無念の念を念として/歌うも舞うも法(のり)の声」

というのがあり、それを知った時「自由な気の舞」は、ある意味、無色界での禅の境地に通じているのかも知れないと思ったんです。

ところが釈尊は、出家した後、直ぐにバラモン教の聖者から教えられたこれらの無色界での境地に到達しますが、これらの境地が、釈尊のテーマだった「生老病死」に対する苦(思い通りにならないこと)の解決にはならないことに気づき、しゃくそんはそこから別の修行に入っていったんです。

ということは、僕たちも「気の感覚」や「ふぁんそん感覚」の心地よさへの没頭による無色界の境地を超えて、新たな人間性の確立(自分づくり)への道をもさくしなければならないということなのでしょうね。


◆気功の基礎から応用までを学ぶ《気功の学校/養生気功部会》
*第2第4土曜 13時半〜15時半
*名古屋市市政資料館
*入会費(二千円)受講料(五回分五千円)体験(二千円)

kikounonakama@yahoo.co.jp

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プロフィール

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鍼灸師・気功法講師。

和歌山県出身。日本福祉大卒。名古屋市内に鍼灸院「和気」を開院(2015年、閉院)。林茂美師に師事し気功を習得。愛知県名古屋盲学校専攻科非常勤講師(2016年退職)

現在は名鉄カルチャースクールにて講師活動のほか、名古屋市内にて各種の気功講座、気功教室を担当。

また、2013年より京都、妙心寺内大心院にて気功講習会を開始。現在に至る。

趣味は、陶芸、京都・奈良ウォークなど。

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