火星とアンタレスの熱い戦い 2016/8/20

8月下旬になって夏バテ気味のさそり座が、南西の空土星と火星とともに見えている。

5月31日に2年2ヶ月ぶりに地球に接近した火星が、さそり座とともに宵の南西の空で輝いている。最接近のころと比べると、地球からじわじわ遠ざかり明るさもひところの勢いはなくなってきた。8月中旬には、土星に近づいてきて、仲良く紅白のペアを組んでいるようにも見えている。そして、そこに赤い1等星のアンタレスが加わって三角形を作っている。こんな火星が、ゆっくり東へ動いて三角形の形を変えながら、アンタレスに近づいてゆく。

火星はゆっくり東に動いて、8月24日には、土星・火星・アンタレスが一直線に並ぶ

ところで、アンタレスとは、火星の敵という意味のアンチ・アレスが詰まったもの。約2年に一度火星はアンタレスの近くにやってきて、赤い星同士がまるで赤さを競い合っているように見えることから、この名がついた。

実は4月26日にも火星とアンタレスが4.9度の間隔で並んだが、この時は、火星は接近直前で-1.3等という強烈な赤い輝きを放っていたため、アンタレスは到底太刀打ちできなかった。二度目の戦いは、8月24日にクライマックスを迎えるが、今回は、前回よりも熾烈な争いになるだろう。

火星とアンタレスの間隔は1.8°。しかない。7倍双眼鏡なら土星も同視野で見られる。

その理由は、まず火星は-0.4等と1等級暗くなったこと。そして、火星とアンタレスの間隔は、なんと1.8度しかないからだ。1.8度ということは、7倍双眼鏡の視野にはもちろん、20倍前後の双眼鏡やフィールドスコープの視野にも収まってしまうほど。この接近のようすは8月20日ごろから8月28日ごろまで楽しめるので、どちらが赤いか明るいか、じっくり比較してみよう。

ちなみに、火星とアンタレスの接近は、ほぼ2年弱ごとにめぐってくるが、必ずしも宵空でさそり座が見える夏に起こるとは限らない。次に夏の宵空で火星とアンタレスが並ぶのは、2031年9月だ。つまり、今回のような火星とアンタレスの接近は、十数年に1回しかない貴重な現象だということができる。

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天文研究家

1953年三重県四日市市に生まれる。学生時代は名古屋市科学館山田卓先生の下で天文普及活動に参加。天体望遠鏡メーカーに勤務の後、1992年にフリーとなり星を見上げる楽しさを広めるべく、あさだ考房を設立。

天文・科学雑誌に記事を連載、単行本・プラネタリウム番組シナリオ執筆のかたわら、天文宇宙関連の講演・講座、プラネタリウム解説を行っている。

最近は、生涯教育を意識した、プラネタリウム運営支援、プラネタリウム解説指導にもかかわっている。日本天文学会会員、NPO法人アイ・プラネッツ理事長。

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