達人に訊け!
【くすりのさじ加減(3)】健康食品とくすり、一緒に使って大丈夫? 2015/4/30
数多くの製品が店頭に並び、ネット販売でも容易に手に入れることが出来るようになった健康食品。『血圧が高めの人に』、『血糖が高めの人に』など様々な表示、CMが人々を惹きつけます。実際、健康食品の中には素晴らしい効果を示すものもあります。
では、このような健康食品はくすりと一緒に使っても大丈夫なのでしょうか?
『血圧が・・・』、『血糖が・・・』という表示を見ると、病院にかかり、血圧のおくすりや血糖のおくすりをのんでいる人の中には、健康食品を使うと、より高血圧や高血糖が改善されるのではと考る人は多いと思います。
また、健康食品を使うことで、くすりを使う必要がなくなるかもしれない、と考える人も大勢おられると思います。
しかし、表示のポイントは『高めの人に』という言葉。
健康食品は、病院でくすりをもらわなければいけないほど、健康を害していない人、この場合は、血圧や血糖が高いが、くすりをもらうほどでもない人、のための食品なのです。くすりをもらって治療をしている人のためのものではありません。
また、くすりと健康食品を一緒に使うことは、おくすりの副作用を起こしやすくする可能性もあります。血圧や血糖のおくすりと『血圧が高めの人に』、『血糖が高めの人に』という表示のある健康食品を一緒に使うと血圧や血糖のおくすりの副作用であるふらつきや転倒などの起こる可能性が高まります。
健康食品はあくまでも『食品』なので、使う、使わないはあくまでもその人の嗜好にゆだねられますが、使う際にはこのような注意が必要なことを少し気に留めてください。
岐阜薬科大学薬学部卒業。名古屋大学大学院医学系研究科修了【(博士(医学)】。マギル大学、名古屋大学医学部、長崎国際大学を経て、前職の岐阜大学医学部附属病院薬剤部(副薬剤部長)より、2013年10月に薬物動態学研究室の教授に着任しました。
研究室では、くすりの適正使用を推進するために、薬物血中濃度の測定法や遺伝子検査法を開発。医師、病院薬剤師と連携した臨床研究を主に行っています。また、危険ドラッグの検出技術の開発にも取り組み始めました。
本ブログでは、くすりや健康食品を正しく使うための知識をのみあわせの知識などを交えながら、わかりやすくお伝えしたいと思います。
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プロフィール
本学は、美しい金華山と長良川などの自然に恵まれ、また歴史と文化の薫漂う岐阜市の北部に位置し、80有余年に及ぶ歴史の中で、建学の精神である「強く、正しく、明朗に」をモットーに、「人と環境に優しいグリーン・ファーマシー」を基本理念とした薬学教育を通じ、安心で安全な医療に貢献できる薬剤師や、人と環境にやさしい方法で薬を創ることのできる研究者や技術者を養成しています。
地域に生き、世界に伸びる大学として、今までの実績を基にさらに発展し続ける努力を重ねております。
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