水族館で生まれたアカウミガメの大航海 2012/10/13

子ガメ放流会の様子(愛知県田原市)

名古屋港水族館では1995年にアカウミガメの繁殖に成功し、以来ほぼ毎年子ガメが誕生しています。これまでに約14,000個の卵が得られ、約8,400頭の子ガメが誕生しました。アカウミガメは生息数が減少しており絶滅が心配されています。

当館ではアカウミガメが自然の海でどのような生活をしているのかを調べるため、また、アカウミガメの生息数を少しでも増やすために水族館で誕生した子ガメの自然海への放流を行ってきました。

北太平洋のアカウミガメの回遊経路(模式図)

アカウミガメの回遊経路を調べるために、当館では2003年からアメリカ大気海洋気象局(NOAA)と共同で、アカウミガメに送信機を取り付けて放流をしています。この送信機から送られてくる位置情報を衛星を通して知ることが出きるので、移動中のウミガメがどこにいるのかが分ります。

これまで送信機を取り付けて放流した196頭から得られたデータから、遊泳力が弱い子ガメたちはまず黒潮によって太平洋の沖へと運ばれ、その後、北太平洋中央部の暖流と寒流の交じり合い餌となる生物が豊富に生息している水温20℃ほどの海域に留まることが分かってきました。

ここで成長したアカウミガメは、再び日本の近海に戻ってきます。そして、海底に住むエビやカニ、貝などを食べてさらに成長、成熟し、交尾をした雌は、日本の砂浜に上陸して産卵をすると考えられています。

長崎県五島列島沖にて送信機を取り付けたアカウミガメを放流

1996年に当館で生まれ、1998年8月に愛知県田原市より放流した個体が、昨年9月5日に13年ぶりに長崎県対馬で見つかりました。この個体は太平洋で成長して日本に戻ってきたものと推測されます。

大きさは甲羅の長さが70.6cm、体重54.6kgと繁殖するにはまだ小さいと思われ、性ホルモンの検査からも未成熟の雌だと分りました。一方、血液中の赤血球数やヘモグロビン濃度などが飼育個体に比べて高く、潜水能力が高いことがうかがえました。

北太平洋中央部で成長して日本近海に戻ってきたアカウミガメが繁殖するまでの間、どこで生活しているのかを調査するために、今年の6月この個体に送信機を取り付けて長崎県五島列島の沖に放しました。

現在のところ、あちこちに移動しながらも東シナ海に留まっているようです。おそらく東シナ海の大陸棚で、エビやカニなどの底生生物を食べているものと思われます。この個体はさらに成長を続け、やがて交尾をし、日本の海岸に上陸して産卵をするでしょう。いつ、どこの砂浜に上がって産卵するのか非常に楽しみです。

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プロフィール

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名古屋港水族館では平成24年3月から3頭のシャチファミリーを公開しており、皆様に「海の王者」といわれる雄大な姿をご覧いただいています。また、イルカのパフォーマンス、マイワシのトルネードなどさまざまな人気イベントを開催しています。

名古屋港水族館は平成4年(1992年)にオープンした南館と平成13年(2001年)に完成した北館の二つの施設からできています。

南館の展示テーマは「南極への旅」です。それは名古屋を出発し南極に至る地球を縦断する旅の中で出会う様々な海の環境を5つに分け、「日本の海」「深海ギャラリー」「赤道の海」「オーストラリアの水辺」「南極の海」の生物の飼育展示です。ここではそれぞれ大変異なった環境に適応し生きているさまざまな生命に出会えます。

北館の展示テーマは「35億年はるかなる旅―ふたたび海へもどった動物たち」です。悠久な生命進化の歴史の中で、水中生活に適応し素晴らしい知性を発達させ、陸上の人間の地位にも匹敵するといわれる海洋の生活者であるクジラの世界を、さまざまな手法を用いて紹介しています。

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