<第2話>名古屋と大相撲の深いつながり 2013/5/14

名古屋場所が本場所に昇格。「南洋場所」と言われるほど場内は暑く、酸素ボンベで酸素を放出する係員=昭和33年7月6日、名古屋市中区の金山体育館(当時)で

明治時代以降、東京で2場所、はじめは10日間の開催だった大相撲ですが、大正時代以降、日数や場所数が変化していきます。現在の年6場所制で、最後に本場所開催地となったのが名古屋です。

戦後、東京で3場所、大阪で1場所という年4場所制が定着していたのですが、新聞のスポーツ面が充実したり、ラジオやテレビの情報伝達手段が広がったりして、大相撲の人気が高まってきました。

それにあわせて、本場所を増やしてほしいという要望も出てきて、先に本場所になったのが福岡。昭和32年のことです。準本場所としては名古屋の方が先に開催していたのですが、福岡の方が先に誘致活動を起こして、九州場所は11月と決まりました。

夏の巡業や他の本場所と重ならないように調整して、名古屋場所は6月下旬から7月にかけての開催となりました。昭和33年の本場所昇格に向けて、前年の準本場所はこれまでの2月から6月下旬に開催時期が変更されました。

粉雪が舞う中、足に毛布をかけ、オーバーを着て実況した2月開催から6月に変わり、今度は暑さ対策が必要となります。当時は金山体育館(現在の日本特殊陶業市民会館)が会場でしたが、冷暖房完備の時代ではありませんでしたから、蒸し風呂のような暑さでしたね。通路に氷柱が置かれたり、重要な取り組みの後や前後半の休憩時間などに、酸素ボンベをシューっと使ったりしたものです。

暑いけれどもなんとかやれそうだということで、翌年スタートするわけですが、梅雨から盛夏への時期ですから、力士にとっては体調管理が大変です。しかも当時は5月の夏場所が終わってほっとして、集中力が戻らないうちにすぐ6月下旬の名古屋場所でしたから。“荒れる名古屋場所”なんて言われるようになったのも、開催時期が影響しているかもしれません。

名古屋本場所が始まったころは、栃錦と若乃花が全盛の時代です。テレビ視聴者も増えて、相撲人気は上昇カーブを描いていました。本場所開催を待ちわびた人たちで、初めての名古屋本場所は連日満員のお客さんでした。みんな首からタオルをぶら下げていましたね。名古屋は私の初任地でもあり、準本場所の時代から関わってきましたから、印象深いです。

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プロフィール

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日本福祉大客員教授、元NHKアナウンサー・相撲ジャーナリスト

1930年、北九州市生まれ。早大卒業後、53年NHK入局。初任地は名古屋局で、自身初の大相撲実況は54年2月に金山体育館で行われた大相撲名古屋場所(当時は準本場所)。

NHK在職中は名古屋、福岡、大阪、東京と大相撲の本場所開催地の放送局に在籍。81年、大関貴ノ花引退の放送で思わず絶句。“泣きの杉山、泣かせの杉山”と異名をとる。相撲以外でも東京、メキシコ五輪をはじめプロ野球など各種のスポーツ実況を担当。

現在は日本福祉大生涯学習センター名誉センター長、客員教授。名古屋・栄の中日文化センター講座「大相撲の魅力を語る」で講師を務める。深い知識と豊富な経験を基に、講座で興味津々の話題を紹介してくれる。

著書に「大相撲この名勝負」「土俵の鬼三代」「兄弟横綱−若貴の心・技・体」「土俵のチンギス・ハーン 白鵬」「土俵の真実」などがある。

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