新食感!ういろうってこんなに・・・!? 2013/4/27

名古屋名産のお菓子として最もポピュラーなのがういろうです。駅や百貨店のみやげ物売り場では、必ず何社かのういろうが並べられています。

ういろうは米粉と砂糖を主原料とする蒸し菓子で、羊かんと同様に棹状のものが一般的。室町時代に中国から伝来し、江戸時代には日本各地に広まりました。

小田原、京都、山口なども産地として知られていますが、名産地としてのネームバリューは名古屋がダントツです。これは名古屋の和菓子屋の経営努力の賜物。戦後の物資不足の中、原料調達に奔走してういろうをはじめとする和菓子に取り組んだ上、全国へ向けて販売。

さらに昭和39年の東海道新幹線開通の際には、青柳ういろうが名古屋みやげとして車内販売されることとなり、一気に名古屋銘菓の評価を全国に広めたのです。

もっちりとした食感、ずっしりとした重量感が特徴で、これが食べ応えやおみやげとして持たせる際の存在感を重視する名古屋人気質にマッチするともいわれます。そんな中、今回はあえて既存のういろうのイメージを覆す新感覚の商品にスポットを当てることにします。

「餅文総本店」の水ういろ1個95円。小豆と抹茶の2種類がある。後は定番の献上ういろ。ハーフサイズ420円〜

まずお薦めするのが「餅文総本店」の水ういろ。同社は江戸初期創業。尾張徳川家2代藩主・徳川光友に使えた陳元贇(ちん・げんぴん)から、初代・餅屋文蔵がういろ(同社は「ういろう」ではなく「ういろ」と表記。以下「ういろ」)の製法を伝授されたのが始まりと伝えられます。

「15代目の社長が“趣味は研究”というくらい探究心旺盛で、過去にはイカ墨ういろやチーズういろなどを商品化したことも。伝統を守りつつういろ業界の先駆者でありたい、そんな精神から生まれたのが水ういろなんです」と石塚慎吾副社長。

かわいらしいひと口サイズの形からしてユニーク。そして、それ以上に面白いのが食感です。「こんなにぷるんぷるんのういろなんて!」とびっくりするほどみずみずしく、それでいて従来からのもっちりした粘りもあり。ういろにつきたてのもちとゼリーをかけ合わせたかのような食感です。

実はこの商品、米粉を使わないのが製法上の一番の特徴。名古屋のういろは米粉を使うのが基本なのですが、その鉄則をあえて破っているのです。こうして独特の食感を獲得し、それでいてういろらしさも失っていないところが、業界きっての老舗だからこそといえるでしょう。

季節商品で販売期間は4月下旬〜8月末。食べる前に1、2時間冷やすとひんやりとした涼感を楽しめます。

熱田区の「餅屋文蔵の店」。直営4店舗では毎月1日を「ういろの日」とし、生ういろが100円引きになる

定番の献上ういろももちろんお薦め。歯ざわりは弾力があってもっちり、舌触りは生地がきめ細かくしっとり滑らか。手づくりの丁寧さが実感できる逸品です。

□ 餅文総本店
餅屋文蔵の店 名古屋市熱田区池内町5−12 052・884・0080、9時〜18時、無休
他、直営3店舗(南区、緑区、天白区)、名古屋駅の東海キヨスク、名鉄百貨店、ジェイアール名古屋タカシマヤ内の銘菓百撰、中部国際空港、県営名古屋空港で販売

「緋毬」のゆららういろ。玉露こしあん600円。後ろのテイクアウト用のおもたせは1個315円

もうひとつ、驚きの新感覚ういろが「緋毬」(ひまり)のゆららういろです。2009年にサカエチカにオープンしたこの店、構えからしておしゃれな和甘味カフェ風ですが、実は「大須ういろ」の新ブランド。そのメイン商品として開発されたのがゆららういろです。

「“スプーンで食べられるういろ”をテーマに試行錯誤を重ねました。従来とは異なる製法を採り入れて、独自のつるんとした食感を実現しました」と緋毬事業部の池戸善仁さん。

「ういろってこんなにおしゃれだったっけ」と意外に思うほど、イートイン用の盛り付けも、テイクアウト用のパッケージも、和菓子というより今どきのスイーツ風。それ以上に意外なのは口に含んだ時の印象。驚くほど柔らかくすっと口の中でとけていきます。ういろ特有の口に残るまったり感とは対極にある口どけのよさは衝撃的です。

さらに驚くのは、食感がまったく異なるのになぜか「確かにういろだ」と実感できること。その秘密は米粉。名古屋のういろの中でも大須ういろは特に米粉の風味を重視していて、ゆららういろにもその特徴が活かされているのです。

さすがは名古屋を代表するういろメーカー。「ういろをあまり食べたことがないという遠来の人や若い世代に食べてもらい、名古屋の文化にふれるきっかけにしてもらいたいんです」(池戸さん)という心意気もあっぱれではありませんか。

和カフェ風の店内。メニューは他にかき氷やぜんざいなど

味は定番の玉露こしあんと黒蜜きなこに、フルーツなどを使った季節商品の3種類。それぞれイートインとテイクアウトがあり、いずれもこの店舗限定。数ある系列店でもネットでも入手はできません。このレア感も、名古屋ならいつでもどこでも買えるというイメージが強いういろの中にあっては非常に希少です。

伝統ある名古屋銘菓として王道を守りつつ進化も果たしているういろ。しばらく食べてないなぁ、という人にこそその新たな魅力にふれていただきたいものです。

□ 緋毬
名古屋市中区栄3-4-6 サカエチカ内、地下鉄栄駅よりすぐ、Tel052・961・6082、10時〜20時、無休

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プロフィール

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グルメライター

名古屋メシと中日ドラゴンズをこよなく愛する名古屋在住のフリーライター。

雑誌、新聞、Webなどに名古屋情報を発信する。Webガイドサイト「AllAbout」では名古屋ガイドを務める。

著書に『名古屋の喫茶店』『名古屋の居酒屋』『名古屋メン』の名古屋メシ3部作、『東海珍名所九十九ヶ所巡り』などがある。

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