ドリップコーヒーの抽出技術 Part7 2015/9/23

いつもありがとうございます。前回はカリタ式とメリタ式のペーパーフィルター式抽出法を紹介いたしました。

今回は、もう一つのペーパーフィルター法の円錐式ドリップ方式を紹介します。私の珈琲教室ではこの方式を使っています。

円錐式は上か見ると真円に作られていて、直接フィルターからコーヒーエキスが抽出されるように、下部の部分が大きく空いています。いわゆる、布(ネル)フィルターに最も近く、お湯の注ぎ方によって味が違い、技術と経験を積めば狙った味になるといわれ、プロ用のペーパーフィルターとも言われています。円錐式のドリッパーはコーノ式とハリオ式があります。

コーノ式ドリッパーは空気の抜けるリムが少ない

【コーノ式ドリッパー】
コーノ式はドリッパー上部のリブが無いため、ペーパーとドリッパーが密着して空気の逃げ場がない。そのため、ハリオ式と比較するとお湯の速度に即座に反応しないが、抽出の後半はじっくりと抽出することができる。

【解説】
コーノ式ドリッパーは途中までしかリブが無いため、ハリオ式に比べペーパーとドリッパーが密着しやすく空気の逃げ場が少ないため、湯の速度に対して抽出の反応が遅く時間がかかります。1〜2杯用のコーヒーや低温抽出の深煎りタイプのコーヒーなど、じっくり抽出するのに適しています。

ハリオ式ドリッパーは空気の抜けるリムが多い

【ハリオ式ドリッパー】
ハリオ式ドリッパーはリブの本数が多く、ペーパーとドリッパーの間に空気の抜け道が多く出来ている。そのため、お湯の通りが良く、落としたお湯の速度がストレートに反応する。

【解説】
ハリオ式ドリッパーのリブは下部から上部までトルネードで巻き上げられていて、上部でリブの本数を倍増させています。そのため、空の抜け道が多く湯の通りが良いために、注湯の速度にたいして抽出の反応が早くコーノ式よりも短時間で抽出されます。3〜5杯など多人数の抽出や浅煎り、中煎りのコーヒーなどの比較的高温で短時間に抽出するコーヒーに適しています。

どちらの方式が良いというのではなく、どちらがどういったコーヒーに合うかということを理解し、それぞれの適合するドリッパーを選ぶと狙った味が淹れやすい。

【ペーパードリップ式抽出法】 (悪い味を出さず、良い味だけを出す) 
《前提条件》
a カルキを取り除いた新鮮な水を使う
b.良質で新鮮なコーヒー豆(焙煎濃度、産地、ブレンド等・・)
c.適正なグラインダー(ミール)を使用して、淹れる直前に豆を挽く

◎抽出の直前にコーヒーを挽く事は、良いコーヒーの必須条件!(新鮮なコーヒーは健康コーヒー)
d.抽出器具にあった挽き方(粗挽き、荒挽き、中挽き、細挽き、極細挽き)
e.良いドリップをするために必要な抽出器(カリタ、メリタ、円錐、針金、金属・・などなど)
f.良いドリップをするために必要な道具(ドリップ専用ポット、温水計、スケール、タイマーなど)

《ペーパードリップ抽出の基本4項目》
a.適切な湯の温度(深煎りは80度前後、中煎りは85度前後、浅煎り90度前後)
b.適切な抽出時間(深煎りは3分〜4分、浅煎りは2分〜3分) 
c.蒸らし時間(深煎りは1分前後、浅煎りは約30秒前後)
d.細く垂直に注湯して、泡(アク)を落とさない

≪コーノ式ドリッパーの基本抽出法≫                               
@フィルターのミシン目を折り曲げてドリッパーにぴったりフィルターをセットします。粉を軽く揺すって表面を水平にならします。

A先ず良いエキスが出やすいように蒸らし時間を作ります。粉全体にお湯が染み渡るように少量のお湯を差します。あまりたくさんのお湯を勢いよく差すと灰汁を伴ったエキスがサーバーに落ち、雑味の多いエキスになりますので注意!

蒸らしのお湯の量は、使用量+10%〜20%cc(g)を目安にしてください。基本は手早く短時間でお湯を注ぎ、粉が膨らみ30秒くらいすると「ふっ」と下がる瞬間があります。その時より浅煎りは短く、深煎りは長く、が基本の蒸らし時間です。

蒸らし時間は味に大きく影響しますので最適な蒸らし時間を探ってください。

B蒸らし時間が終了したら、粉の中心から少しずつ「の」の字を書くように、だんだん外側に
お湯を差していきます。はじめのお湯は、浅煎りは太目で少し多めのお湯を差し、泡(灰汁)
を上昇させてから、その後、ゆっくり細いお湯を差します。深煎りは灰汁が少ないので、はじめ
からゆっくり細く差すと安定したエキスになります。

お湯を差す時の注意点は、圧力をかけすぎないように、湯を細く粉の上に置くような気持ちで
注ぐことです。

C「の」の字のお湯の差し方は、最初のお湯を100円玉の範囲内にとどめ、それから少しずつ外側に500円玉くらいの大きさにしていくと良い。白くて大きな泡が出て必要以上に膨らむ場合は、お湯の温度が高すぎるか粉の粒子が細かすぎると考えてください。また、粉があまり膨らまない場合は、豆が古いか、お湯の温度が極端に低いかを疑ってください。

Dその後、中心から外、外から中心にと「の」の字を保ちながら、細くゆっくりお湯を差し細か
い泡が盛り上がった状態を保ちながら、ドリッパー内のお湯を切らさないように丁寧に差して
いきます。

※ポイント
a.縁のドリッパーやフィルターに直接お湯を差さない。(粉を通らずにドリッパーの溝
(リム)を通って落ちるため旨味成分の少ない薄いエキスになる)。
b.なるべく粉に近いところからお湯を差す。高いところからお湯を差すと、圧力がかかり
過ぎるために浸漬法とならずに、エキスが安定しません。

E抽出予定量の半分まで来たら、ほとんどのエキスは抽出されていますので、あとは雑味が出ないように抽出時間に気を留めて、好みの濃度(定量)まで丁寧に差していきます。

F膨らみも、泡も落ちつき、後はドリッパーを上げるタイミングを見極めます。この時に泡
が消えプールのような状態になっていたら、豆が古いか、時間がかかり過ぎたか、お湯が
低すぎたかを疑うと良い。
                                       ↓
G予定の抽出量(スケールで正確に測る)に達したら、ドリッパー内にお湯と泡が残っている状態ですぐにドリッパーを外して出来上がり。ドリッパーのお湯をすべて落とし切ってしまうと、雑味が一緒に落ちてしまいますので注意してください(特に浅煎りの豆は)。

出来上がったサーバー内のエキスは、よくかき混ぜてから、湯煎したカップに注いでお召し上がりください。

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日本コーヒー文化学会 理事、日本スペシャルティーコーヒー協会会員(SCAJ)、SCAJ公認 コーヒーマイスター(NO.169)、前・金沢大学講師 (文部科学省公認)

1977年岐阜県瑞浪市に「待夢珈琲店」開店、コーヒーの歴史書や専門書を読みあさり、独学で焙煎を覚え、自家焙煎の珈琲専門店をスタートさせる。

その後、世界のコーヒー産地を自らの足で回り、納得のいく優良な豆を買い付け、良質で新鮮な体に良いコーヒーを提供しています。

また、現在、中日文化センターの珈琲教室をはじめ、基礎クラスから専門クラスまで12講座をこなしています。

産地歴訪はエチオピア3回、イエメン4回、ブラジル、インドネシア、ケニア、タンザニア、ペルーなど。

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