四季の珈琲 2019/1/8

明けましておめでとうございます!

今年は今までにもまして珈琲と真摯に向き合い、自分の時間をすべて珈琲に捧げる所存です。本年もよろしくお願い申し上げます!


日本には四季があり、季節季節にそれぞれの違った風景がありますね。珈琲の焙煎の具合も季節によって違いがあります。それぞれの季節に応じて、火の具合、空気の調整(ダンパー操作)など焙煎方法を微妙に変えます。

特に難しいのは、湿度と温度が高い梅雨時から夏の間です。夏が明けて秋になると焙煎の具合がとても良くなります。では、いつまでが夏でいつからが秋なのでしょう?

私達が日ごろ使っている西暦(新暦)カレンダーで暮らしていると、いつからが秋なのかを把握するのがとても難しく、9月に入ると秋になると思っていましたので、8月いっぱいまでは夏の焙煎法をしていました。

じつは、毎年この時期は焙煎法がなかなか決まらずに頭を悩ませていたのです。そんな時に旧暦カレンダーに出会い、日本の四季は西暦カレンダーでは季節がずれることに気がつきました。その後、専門家の講義を受け、旧暦(太陰太陽暦)がいかに日常の生活に合っているかを勉強しました。

旧暦カレンダー(一般社団法人 南太平洋協会発行)

現在、日本で使われている西暦はグレゴリオ暦で、太陽をもとにした太陽暦で新暦ともいいます。地球が太陽をひと回りする周期を1年とするもので、季節の流れに忠実ですが、月のめぐりとは無関係に進むので、月のめぐりに影響される潮の動きや動植物の変化がわかりにくいのです。

日本で西暦が採用されたのは、明治6年(1873年)で、それまでは旧暦といわれている太陰太陽暦を使っていました。新しく採用された西暦を「新暦」、それまでの古い暦(農歴)を「旧暦」と呼ぶようになりました。

旧暦の太陰太陽暦は古代中国を起源としており、7世紀に日本に伝えられました。太陰太陽暦には、太陽と月の周期の両方が取り入れられています。月の満ち欠けをもって1か月とします、しかし、月が地球の周りを一巡するのは29.53日なので、1年(12か月)で354日となり、太陽暦(新暦)よりも11日も短くなりズレが生じます。

ズレが続くと1月なのに夏の暑さになってしまうこともあるので、太陰太陽暦ではこの11日の誤差を埋めるために、32〜33か月に一度閏月(うるう月)を入れ、その年を13か月とすることで季節を戻し調整するのです。


■旧暦と新暦のずれ
旧暦から新暦への移動により、旧暦の明治5年12月3日が新暦の明治6年1月1日になりました。このため、新暦ではおよそ1か月季節が早くなり、桃の節句に桃が咲かず、七夕は梅雨の最中という具合に、ずれが生じるようになりました。季節と季語が合わなくなってしまったのです。

しかし、私もそうだったように、現代人のほとんどは生まれた時から新暦で暮らしていますので、季語と季節が合わないことに何の疑問も感じる事なく暮らしているのです。

歴の話は今回の趣旨ではありませんので、興味のある方はネット等でお調べください。要は季節を感じる生活には旧暦それも二十四節気を感じて生きていく事は欠かせないという事なのです。

話を戻しますと、旧暦でいう秋は二十四節気の「立秋」と言って8月の8日前後になります。要は、立秋からは秋となるので、残暑見舞いとなる8月の上旬はすでに秋なのです。それを知ってから、8月の中旬からの焙煎を秋の焙煎法に変えたらぴったりと合いました。

それ以来私は旧暦で生活しています。特に珈琲の焙煎は旧暦に沿って行っています。他にも旧暦で暮らすと今まで観えなかったことが観えてきて、季節と季語がぴったりと合い、四季のいろいろな風景や季節感を感じ取る事ができ日々の生活がとても豊かになりました。

私は、昨年2月から自分で抹茶を点てて飲んでいます。

茶道といったものではなく、数冊の本や点て方の画像を観て道具をそろえ、自分流にいろいろな点て方をして、様々な抹茶を購入し日に三度飲み続けています。珈琲と同じように、お湯の温度を変えたり、点て方を変えたりしてデ―タを集めて、もっぱら味や泡の立ち方などでどのように味や香りが違うかを中心に日々楽しんでいます。

昨年10月、樹木希林さん主演の茶道を題材にした映画、「日日是好日」が上映したので観に行ってきました。とても素晴らしい映画で「目からウロコ」の内容でした。

たとえば、「結構なお点前でした」というという言葉は良く耳にしますが、点てられた抹茶が美味しい味の時だけに使う言葉と思っていましたが、それは味に対する褒め言葉だけではなく、作法や手順、おもてなしなど、様々な深い意味合いがあるのだという事を知りました。

日日是好日〜「お茶」が教えてくれた15の幸せ(新潮文庫)・・森下典子 著

もっと詳しく知りたいと思い「日日是好日(森下典子著)」の本を購入して繰り返し読みました。

茶道の世界を、家元制度の作法やしきたりだらけの窮屈な世界だと勝手に決めつけていましたが、それまでの茶道の世界観が根底から覆され、ほとんど知る事がなかった茶道の真髄を垣間見ることが出来ました。

日々の生活のなかで四季折々の自然を感じながらの一服の時間、ホッとする空間など「飲むコト」より大切な事、歴史の中で積み上げられてきたふれあい、おもてなし等々の心の集積が書かれていました。

歴史を積み重ねた伝統文化の世界には、長い歴史の中で培われた、人が人として生きていく上で大切にしなければいけない事は何なのかを、私達に教えてくれているのだと感じました。

珈琲の世界も飲むという楽しみだけでなく、一杯の珈琲を創りだす「喜び」、「楽しみ」「思い」「おもてなし」など、相互の心のふれあいによってのみ「くつろぎの時間」となるのです。茶道の世界と共通する部分が多くあるように思いました。この素晴らしい「日日是好日」の本を、一人でも多くの方にお読みいただきたいですね。

「日々、四季を感じて生きる」

本の中で特に印象に残った言葉は・・・

「人生の中にも四季がある」
「人生の春夏秋冬」

私もそんな人生の連続だったように思います!それらをすべて受け入れ、日々自分に正直に生きてきたことが今の「自身」なのだと感じています。晴れの日もあれば雨の日もあり、暑い日もあれば寒い日もある・・・が、「毎日がいい日」

「日日是好日」

これからの珈琲人生をより豊かにするために、珈琲の焙煎、抽出等もさることながら、多くの方に珈琲を楽しむ喜び、一時のホッとする安らぎや美味しいという満足感を提供し続ける事が使命だと今は考えています。

皆さんも忙しい生活の中で、今まで感じなかった珈琲の様々な香味や感じなかった季節感に、少し目を向ける時間を持つだけでも、日々の暮らしが豊かになると思いますよ。

若葉薫る新緑の風景(ゆずり葉の木niwa)

一昨年、中国茶の「聞香杯」をヒントに、珈琲豆を挽いた時のフレイグランスのアロマを聞いて(香って)いただこうと、聞杯に珈琲の粉を入れ「聞珈杯」香りのサービスとしてお客さんに提供して喜んで頂いているように、今年は、抹茶の世界観で得たものを、珈琲に応用、引用し、いろいろ試したいと思います。

春に新しく入荷するCOEのコーヒーの中から、「新春」の足音を感じさせられるようなコーヒーが出来れば良いなぁ!と考えています。

新春はマンサクから始まり、梅や桜の花を経て、若葉薫る新緑の世界へ移り変ります。辛い現実にさらされている今の私にとっても、この凍てつくような寒い冬はいつかは過ぎ去り春がやって来るのです・・・よね?!

今年は四季を感じられる珈琲を春夏秋冬に応じて提供していこうと考えていますのでどうぞご期待ください。

4月からの中日文化センター栄教室(毎月第一火曜日10:30〜12:00)の新しい講座では、「美味しいコーヒーは自分で淹れて楽しもう!」の内容で、コーヒーの魅力をたくさん知っていただき、いろいろなコーヒーをドリップし、その抽出技術を磨き、味覚の向上を目指しカッピング力を身につけます。

また、一歩進んだ講座、個人個人に対面したマンツーマンのレッスンも予定しています。ご興味のある方、技術を磨きたい方は是非ご参加ください。


お申し込みは、3月以降に・・・
「中日文化センター」
http://www.chunichi-culture.com/

までお願いします。

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プロフィール

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日本コーヒー文化学会 理事、日本スペシャルティーコーヒー協会会員(SCAJ)、SCAJ公認 コーヒーマイスター(NO.169)、前・金沢大学講師 (文部科学省公認)

1977年岐阜県瑞浪市に「待夢珈琲店」開店、コーヒーの歴史書や専門書を読みあさり、独学で焙煎を覚え、自家焙煎の珈琲専門店をスタートさせる。

その後、世界のコーヒー産地を自らの足で回り、納得のいく優良な豆を買い付け、良質で新鮮な体に良いコーヒーを提供しています。

また、現在、中日文化センターの珈琲教室をはじめ、基礎クラスから専門クラスまで12講座をこなしています。

産地歴訪はエチオピア3回、イエメン4回、ブラジル、インドネシア、ケニア、タンザニア、ペルーなど。

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