金属のバランスが崩れていませんか? 2014/9/10

突然ですが、金属というと何をイメージされますか?私は鉄筋や鉄骨(鉄柱)が頭に浮かびます。では、体の中にどのような金属があるかご存じでしょうか?多くの方は鉄と答えられるかと思いますが、この他にも多くの金属が体の中に含まれています。

体の中に金属があるの?
ミネラルウォーターに含まれるナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、これらも金属で、細胞や血液の中に豊富に含まれています。

体の中に多くの金属があることを知って驚いた方は安心して下さい。人間はドラえもんや鉄腕アトムのようなロボットではありません。体の中にあるのは金属イオンといわれるものです。

血漿(血液から赤血球などの細胞成分を除いた液体成分)や細胞内の金属イオン濃度は狭い範囲に一定に保たれており、その範囲を逸脱すると様々な病気になってしまいます(血漿と細胞内の金属イオンの割合を図に示します)。今回はナトリウムとカルシウムの働きについてご紹介します。

血漿および細胞内の金属イオンの割合

塩のとりすぎは必ず高血圧になるわけではない
調理に使う食塩はナトリウムと塩素からできています。食塩を多くとって血漿中のナトリム濃度が増加すると、それを薄めようとして血液の量が増え、血圧が上昇します。

ただし、すべての人が高血圧になるわけではなく、余分なナトリウムを体外へ排泄することができる人は高血圧になりません。これを食塩感受性といいますが、人種差や年齢が関係することが知られています。

食塩を多くとっても高血圧にならない人がいるなら、心配する必要がないかと思われるかもしれませんが、そうでもありません。自分が食塩感受性かどうかはわかりませんし、食塩のとりすぎは胃癌や心臓病などの原因になるという報告があります。

味の濃いものをおいしく感じるかもしれませんが、塩や醤油の量を減らすことが体にとっては良いと思われます。

カルシウムの吸収には運動が必要
カルシウムは大部分がリン酸カルシウムの形で骨や歯に貯蔵されており、1%程度が血漿と細胞内に存在しています。小腸からの吸収、骨への貯蔵、腎臓からの排泄がバランスよく働くことにより、血漿中のカルシウム濃度が一定に保たれています。

年をとると小腸からのカルシウムの吸収が低下し、骨から供給されるカルシウム量が増えます。そのため、加齢とともに骨粗しょう症の危険性が高くなります。ビタミンD3は小腸からのカルシウム吸収を促進させる働きがあるため、骨粗しょう症の治療に用いられます。

紫外線を浴びることにより、皮膚からビタミンDが合成されるので、30〜60分程度の散歩が運動にもなって良いです。まだまだ暑い日が続きますが、適度な運動を心がけましょう。

五十里彰(いかりあきら) 博士(薬学) 岐阜薬科大学生化学研究室教授

富山医科薬科大学薬学部、同大学院修了後、静岡県立大学薬学部で15年間勤務しました。昨年10月に岐阜薬科大学生化学研究室の教授に着任し、癌や生活習慣病の発症機序の解明と新しい治療薬の開発に取り組んでいます。

学生時代は卓球部に所属しており、現在もときどき家族と卓球を楽しんでいます。学生には勉強や研究だけでなく、スポーツや趣味など、やる気を持って打ち込めることを見つけて欲しいと思います。

本ブログでは、あまり馴染みのない方も多いかもしれませんが、金属の働きについてわかりやすくお伝えしたいと思います。

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