「配偶者控除」がなくなる? 2016/9/16

最近、新聞やニュースで「配偶者控除」がよく取り上げられています。毎年のことなので、またか・・・と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、どうやら今年は本腰を入れた議論になり、改正される可能性が高くなってきました。

政府税制調査会(税制のあり方について議論する首相の諮問機関。有識者39人で構成)において、専業主婦がいる世帯の税金の負担を軽くする「配偶者控除」の見直しが9月9日から始まりました。2017年度の税制改正大綱に盛り込むかどうかに向けて11月に提言がまとめられる予定です。

そもそも「配偶者控除」制度は専業主婦世帯が主流であった1961年にできた制度で、共働き世帯の方が専業主婦世帯よりも427万世帯も多くなった現在も50年前の制度がそのまま残っており、約1400万人が対象で、約6千億円分の税負担の軽減となっています。

現在の制度は、共働きが増えている現状に合わず、女性の働き方や働く時間を制限しているという指摘が多く、これまで何度も議論の俎上に載せられましたが、伝統的家族像を重視する考えが根強く、選挙の影響を懸念して見送られてきました。

「配偶者控除」とは、ご存じのように、専業主婦や年収103万円以下のパート主婦がいる世帯の所得税を軽くするという仕組みです。原則、夫の課税所得から38万円が控除されるというものです。

もともと年収が103万円以下の人は、基礎控除(38万円)と給与所得控除(65万円)があるため、所得税を支払わなくてもよく、さらに「配偶者控除」によって世帯主の税金も軽減されています。また夫の年収制限がないので高所得者でも控除され、高所得者ほど恩恵が大きくなっています。

これを妻の働き方や年収を問わず減税対象とする代わり、夫の年収が高い世帯は対象外にしようとするのが、「夫婦控除」制度です。まだ年収の線引きをどこにするかは決まっていませんが、年収が高い世帯やパート世帯には増税になる可能性は高くなり、低・中所得者には配慮される制度となります。現在の安倍政権の「働き方改革」が追い風となって、「女性の社会進出」の後押しのための見直しとの位置づけです。

ただ毎度のことですが、税負担が重くなる所得の大きい専業主婦世帯からの反発は根強く、また家族形態が多様化する中、「夫婦控除」には事実婚や同性婚は対象とならないなど、今回も議論は難航しそうです。是非11月の提言に関心を持ち、今後の行方を見守りたいものです。

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岐阜大学教育学部教授・博士

京都市生まれ。ノートルダム女子大学(京都)文学部卒業。大阪市立大学大学院生活科学研究科後期博士課程修了。

現在、岐阜大学教育学部教授・博士(学術)、放送大学客員教授。

家庭経済学、家庭経営学、家族関係学、アーミッシュ研究等の講義を担当。

放送大学ではラジオで「生活経済学」の講義を担当(2012〜2016年)。

主な著書 『ちほ先生の家計簿診察室』(名古屋リビング新聞社2002年)、名古屋リビング新聞社、大阪リビング新聞社で家計簿相談を20年ほど担当。

『お金と暮らしの生活術』(昭和堂2012年)、『仕事・所得と資産選択』(放送大学教育振興会2008年)、『アーミッシュの謎』(共訳、論創社1996年)、『アーミッシュの学校』(共訳、論創社2004年)、『アーミッシュの昨日・今日・明日』(共訳、論創社2009年)、『生活経済学』(放送大学教育振興会2012年)など。

趣味:毎日家計簿をつけること。ただし買い物好きなので家計チェックは自分にはあまり生かせていないかも・・・・・

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