年末調整の時期。「控除」ってそもそも何? 2016/11/9

11月に入ると、会社員や公務員は「年末調整」の季節になります。毎月払っている所得税は途中で子どもが増えたりしても、修正されておらず、そのまま徴収されているので(概算)、1年の最後に総決算(控除を再計算)をして所得税を調整することを言います。これをしておくと手取りが増えることもあります(払いすぎた税金は還付されます)。

ここでも「控除」という言葉がでてきます。以前も「配偶者控除」を取り上げましたが、この「控除」という言葉。日常語ではないので、ピンときませんよね。辞典では、「計算の対象からある金額・数量を差し引くこと」と説明しています。

一番よく聞くのが「所得控除」です。働くと給与が貰えますが、その給与所得にかかるのが「所得税」です。所得税は年収に税率をかけて求めているのではありません。

まずは家族形態に応じて「所得控除」を引いて、これに税金をかけてね。という「課税所得」を計算します。所得控除は沢山ありますが、皆さんに関係するものを見ておきましょう。

まずは給料が会社からであれば必要経費として「給与所得控除」があり、年収に応じて概算で引いて貰えます。その後、すべての人に対して「基礎控除」38万円が引かれます。

次に「社会保険料控除」。これは健康保険や国民年金などを支払っていた分が差し引かれます。生命保険料も支払った金額に応じて、個人年金にも控除額が設定されています。医療費も自己負担額が年間10万円を超えると、超えた額が引かれます。

結婚して扶養していれば、先回から問題となっていた「配偶者控除」が38万円あります。これはこれまで見てきたように年収103万円以下の配偶者がいる場合に税負担を軽くしてあげましょう。という意味でもうけられました。また配偶者の年収が141万円未満(夫の合計所得が1千万円以下)なら、段階的に減りはするものの、「配偶者特別控除」が最高38万円引かれます。

子どもや高齢の父母がいる場合は、16歳〜18歳、23歳〜69歳は「一般扶養控除」として一人あたり38万円、70歳以上(同居の場合は10万円の加算)は「老人扶養控除」として48万円が引かれます。一方、19歳〜22歳の子どもがいる場合は「特定扶養控除」が一人あたり63万円差し引かれます。

他にも寄付控除などもあります。これら全てを年収から引いた残りの金額に課税がされます。これが「算出税額」です。よく聞く住宅ローン控除は、「所得控除」ではなくて、「税額控除」という分類になります。これには他に「配当控除」などがあります。

これらは課税所得に税率をかけた後の「算出税額」にかかるので、税率による差はなく、一律に税負担が軽減されるという効果があります。「算出税額」から「税額控除」を引いたものが「所得税」となります。

ちなみに医療費控除や寄付金控除は「年末調整」では計算しないので、控除を受けるためには、サラリーマンであっても「確定申告」をしなければならないので注意が必要ですね。

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岐阜大学教育学部教授・博士

京都市生まれ。ノートルダム女子大学(京都)文学部卒業。大阪市立大学大学院生活科学研究科後期博士課程修了。

現在、岐阜大学教育学部教授・博士(学術)、放送大学客員教授。

家庭経済学、家庭経営学、家族関係学、アーミッシュ研究等の講義を担当。

放送大学ではラジオで「生活経済学」の講義を担当(2012〜2016年)。

主な著書 『ちほ先生の家計簿診察室』(名古屋リビング新聞社2002年)、名古屋リビング新聞社、大阪リビング新聞社で家計簿相談を20年ほど担当。

『お金と暮らしの生活術』(昭和堂2012年)、『仕事・所得と資産選択』(放送大学教育振興会2008年)、『アーミッシュの謎』(共訳、論創社1996年)、『アーミッシュの学校』(共訳、論創社2004年)、『アーミッシュの昨日・今日・明日』(共訳、論創社2009年)、『生活経済学』(放送大学教育振興会2012年)など。

趣味:毎日家計簿をつけること。ただし買い物好きなので家計チェックは自分にはあまり生かせていないかも・・・・・

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