4月4日 またまた皆既月食 パート2 2015/3/20

地球の影の月軌道付近での直径は、真っ黒の本影が約4600km、半影が8200kmもある

●地球の影
月食は、地球が太陽に照らされてできる影の中に月が入って欠けてゆく現象だが、そもそも影には、まっ黒な影の本影とその周りを取り巻く薄暗い影の半影とがある。もちろん地球の影にも本影と半影がある。

宇宙空間に伸びる影は、日ごろその存在を忘れているが、月食のときにその影が浮かび上がってくる。つまり月食は地球の陰の存在を認識するまたとないチャンスなのだ。

では、月を隠す地球の影の大きさはどれぐらいなのだろう。太陽と地球の直径と太陽地球月までの距離がわかれば計算することができる。その結果は、月軌道付近での本影の直径は約4600kmで、月の直径の2.6倍ほどとなる。一方半影は約8200kmもある。

また、本影と半影の境界には、はっきりとした輪郭があるわけではないので、月食時の月の欠け際もぼんやりしている。

月食には、半影月食、部分月食、皆既月食の3パターンがある

●月食の種類
月食は、月の軌道と地球の軌道の交点近くで満月となり、その月が地球の影に入ったときに起こるわけだが、必ずしも本影を通過するとは限らない。月が本影と半影のどの部分を通るかによって、3種類の月食に分けることができる。

【半影月食】
月が半影部分をかすめるだけの月食。月がほんの少し暗くなるだけで、よほど注意して見ないと気が付かない。

【部分月食】
月の一部が本影の中に入る月食。月が途中まで欠けて、再び元に戻る。欠けている様子は肉眼でもよくわかる。

【皆既月食】
月が完全に本影の中に入ってしまう月食。本影の中に入っても月は完全に見えなくなるわけではなく、赤黒い月がぼんやりと見える。

また、皆既月食といっても、本影のどの位置を通過するかによって、皆既の継続時間が変わってくる。当然本影の中心を月が通るときが一番長く、1時間45分に及ぶ。逆に本影の端をかすめるときは、10分程度で終わってしまう。

月が欠け始める19時15.4分。その時の高度は名古屋で15°。20時54.2分に皆既となる

●4月4日の皆既月食のようす
さて、4月4日(土)の皆既月食は、まず17時59.7分に半影食が始まる。実質的に食が始まるのは月が欠け始める19時15.4分から。その時の高度は名古屋で15°。その後月は徐々に欠けて行き、20時54.2分に月が地球の本影に完全に入り込んで皆既食となり、21時00分食最大の食分1.005となる。

そして21時06.4分に皆既食が終わり月は元の形に戻り始め、22時45.1分に本影食が終わり、半影月食も00時00.8分に終了する。ちなみに月食の各現象の時刻は日本全国同じだが、地平高度が異なる。

4月4日の皆既月食は、本影の北端を月が通ることがわかる

●皆既時間はたった12分!
今回の月食で気が付くのは、皆既食の時間の極端な短さだ。皆既月食における皆既継続時間は1時間前後あるのが普通だと私は認識していた。ところが4月4日の皆既月食では、わずか12分しかない。理由は、皆既時間が1時間あった昨年10月8日の皆既月食と比較すると一目瞭然。

今回は、月が地球の本影の北の端、あと少し北にずれると部分月食になってしまうという、本影の縁ギリギリを通過するためだ。

この画像は10月8日の皆既月食。今回はもう少し明るめの赤い月が見えるかも

私の人生の中でこんなに皆既時間が短い皆既月食を見た記憶がない。そこで過去40年間調べてみたが、少なくとも日本で見られた皆既月食の中でこれほど皆既時間が短いものはなかったようだ。将来的には、2021年5月26日に起こる皆既月食は19分と短い。

というわけで今回の皆既月食は、皆既継続時間としてはあまりにも短くてがっかりだが、逆にとても珍しい皆既月食ともいえる。皆既中の赤い月が1時間以上も見えると、気分的に中だるみをしてしまうこともあるが、12分しかないと思うと、かえって緊張感が高まり、違った意味で楽しい皆既月食になるだろう。

皆既月食が見られる日は土曜日の宵という好条件、しかも桜が満開かも。ドキドキワクワクしながら、観望・観測を楽しむことにしよう。

ちなみに次回の皆既月食は2018年1月31日まで待たなければならない。

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天文研究家

1953年三重県四日市市に生まれる。学生時代は名古屋市科学館山田卓先生の下で天文普及活動に参加。天体望遠鏡メーカーに勤務の後、1992年にフリーとなり星を見上げる楽しさを広めるべく、あさだ考房を設立。

天文・科学雑誌に記事を連載、単行本・プラネタリウム番組シナリオ執筆のかたわら、天文宇宙関連の講演・講座、プラネタリウム解説を行っている。

最近は、生涯教育を意識した、プラネタリウム運営支援、プラネタリウム解説指導にもかかわっている。日本天文学会会員、NPO法人アイ・プラネッツ理事長。

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