廃線跡探訪(2) 名鉄美濃町線 [3/3] 2019/3/14

関駅に乗り入れていた頃の名鉄美濃町線

美濃町線廃線跡探訪の初回に記しましたが、美濃町線の新関〜美濃間は四半世紀前となる1999年4月1日に廃止されました。この区間は長良川鉄道と並走しているためです。

しかし、美濃町線の新関駅は長良川鉄道の関駅から約300メートル西側と離れたところに位置しています。そこで、美濃町線が新関駅を発車後、県道に出たところでその西端を北上していたのを、無理やり県道手前で右カーブさせて県道を横断させました。これで長良川鉄道関駅に隣接する地に乗り入れたのでした。同時に、県道には新たな踏切が誕生しました。

上の写真は、このときに新設された関駅で折返しの発車を待つ名鉄モ600形です。すぐ右側に長良川鉄道の車両が写っていますが、両車両の真ん中に長良川鉄道の本線があります。

美濃町線の関駅跡の現状。路面のアスファルトもレールもそのまま。

美濃町線の全廃までわずか6年間の営業だった美濃町線関駅ですが、その駅跡は上の写真のように今もそのまま残っていました。

最初の写真は、この写真の右端の中ほどで撮ったものですが、いまは立ち入り禁止となっているため同じアングルでの写真が撮れず、反対側から撮ることになりました。

ご覧のとおり路面のアスファルトもレールもそのままですが、隙間から生えた枯れ草があり、進入禁止の柵があるなど、うら寂しい雰囲気となっています。

国土地理院が公式サイトで公開している航空写真や、Google!の航空写真は、この駅が現役だった頃に撮っていないようですが、拡大するとどちらも無理やり県道を渡っていた頃の急なS字カーブの跡がくっきりと見られます。

上芥見駅の現状(上)と現役当時(下)を比較すると、ほぼ代わっていないことがわかる

立派な駅舎だった新関駅は、廃止からしばらくそのままでしたが、今では分譲住宅が建ち並び、現役当時の様子が思い浮かべられないほどになっています。

しかし、新関駅をすぎてから岐阜方面に進むと、廃線跡が多く残っています。行き違い設備があった白金駅は、ホームがそのまま残っていました。白金〜上芥見(かみあくたみ)間にあった津保川を渡る長い鉄橋はなくなっていますが、鉄橋前後の廃線跡はほぼ現役時代の様子を伝えています。

なかでも名所として知られた上芥見駅近くの併用区間は、レールも架線もなくなっていたものの、線路敷きの範囲を伝えるアスファルトの区切りも含めてそのままでした。

上の写真は、現状と現役当時に撮影した上芥見駅の比較です。今となってはここにホームがあったことなど想像できませんが、下車した通学生の後ろ姿が写っているように、たしかにここにホームがあったのでした。

よくみると、用水路の土手を固める石垣がそのままであるだけでなく、左端の電柱の傾きもそのままですし、奥の方に写っている民家の屋根もまったく変わっていません。ただし、ホーム向かい側にあった待合室は撤去されてしまい、更地となったうえで立ち入り禁止のロープが貼られていました。

上芥見駅からさらに岐阜方向に進むと、国道156号線の傍らを走るようになります。さすがに国道だけあり交通量が多く、廃線跡が道路拡幅に使われているところもありますが、それでも廃線跡として残っているところが意外に多くあります。

14年前に廃止したことが今も明確に分かる踏切跡のお知らせ板

なかでも驚いたのが、国道から少しだけ離れて走っていた岩田〜岩田坂間にあった踏切跡でした。上の写真のとおり『踏切廃止のお知らせ』がいまもそのまま建てられているのです。平成17年4月1日の廃止で、前日まで電車が走っていたことがわかる内容です。
平成17年は西暦2005年で、廃止の一週間前となる3月25日には愛知万博が開幕していました。まさに明暗分かれた暗がこの美濃町線でした。

美濃町線の岐阜側の起点は、繁華街の柳ヶ瀬にほど近い徹明町でした。徹明町の交差点では、新岐阜(現・名鉄岐阜)方面からやってきた市内線の電車が、左折して揖斐・谷汲線に接続するか、真っ直ぐ直進して長良北町に向かうかしていました。その交差点を右手に曲がったところに美濃町線の徹明町電停がありました。

徹明町駅ビルは現存していた! 右上は、ビル最上部のビル名表示。

市内線と直通できるレールもありましたが、回送列車やイベント列車をのぞくと直通することはありませんでした。その道路の真ん中にある徹明町電停から歩道に渡ったところには「徹明町駅」と書かれたきっぷ売り場がありました。廃止から14年経っているので、別の用途に使われているのではと思っていたのですが、現地にいくと、なんとそのまま残っていました!

「名鉄徹明町駅ビル」というビルの1階にありますが、ビル最上部に記されているビル名とともにそのままです。ただし、ビルそのものが閉鎖されていて、機能はしていません。

この先、いつどうなるかわかりませんので、気になる方は一度訪ねておいた方がよいのではないでしょうか。

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(有)鉄道フォーラム 代表取締役

1958年愛知県犬山市生まれ。大学卒業後に10年のサラリーマン生活を経て、当時話題だったパソコン通信NIFTY-Serveで鉄道フォーラムの運営をするために脱サラ。1998年に(有)鉄道フォーラムを設立。2007年にニフティ(株)がフォーラムサービスから撤退した際に、独自サーバを立ち上げて鉄道フォーラムのサービスを継続中。

一方、鉄道写真の撮影や執筆なども行い、「日本の“珍々”踏切」(2005.2 東邦出版刊)、「鉄道名所の事典」(2012.12 東京堂出版刊)、「トワイライトエクスプレス」食堂車ダイナープレヤデスの輝き−栄光の軌跡と最終列車の記録−(2015.9 創元社刊)など著書多数。

当「達人に訊け!」をまとめた書「東海鉄人散歩」(2018.7)が、中日新聞社から刊行された。

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