ドリップコーヒーの抽出技術 Part6 2015/9/3

ペーパードリップ

@紙フィルター式ドリップ
ネルドリップの良さを残しながら、手入れの面倒を省いたものが「紙フィルター」です。ハンドドリップでコーヒーを淹れる方やコーヒー専門店でもこれらの方式を採用しています。

又、使い捨てで安価な為、多くのコーヒーメーカーに採用(メリタ、カリタに限り)されています。カリタ式やメリタ式は一見ドリップ(透過)式のように見えますが、お湯を溜め置く要素が強く浸漬法の要素が含まれているため、純粋な透過法とはいえません。

一方、円錐式のドリッパーと松屋式針ドリッパーは布フィルターに近く、真の透過式に近いと考えられます。3方式とも違いは穴の数や大きさ、リブの数(松屋式はない)や深さ、傾斜の角度などがあります。

ドリッパーは抽出液の味に大きく影響します。ペーパーをのせる形状も様々で、各個人の好みで選ぶしかありませんが、重要なのはドリッパーの角度とリブ(溝)の高さ、抽出液の通る穴のサイズです。注湯のドリップスピードと珈琲液の落ちる速度のバランスの良いものがベストです。

それぞれの特徴を知っていくと、どんなペーパードリッパーがどんなコーヒーに合うか理解でき、それぞれのコーヒーによって使い分ける事が出来るとコーヒー抽出の世界が広がり楽しくなります。

3つ穴のカリタ式ドリッパー
一つ穴のメリタ式ドリッパー
円錐形コーノ式ドリッパー
円錐形ハリオ式ドリッパー
松屋式針金ドリッパー

ペーパーフィルターによるドリップ法は、家庭に美味しいレギュラーコーヒーを普及させた素晴らしい発明だと思います。それ以前のコーヒー抽出法は、古くはアラビアからトルコを経てヨーロッパに伝えられた煮出し法(トルココーヒー)や煮出したものを金網や布袋で濾過する方法でした。

1908年、ドイツ・ドレスデンのメリタ・ベンツ婦人によってそれまでの濾し器の代わりに、もっと簡便なペーパー(吸い取り紙)を使う方法が考案されたのが始まりです。現在はメリタ式と日本のカリタ式が一般に普及しています(その他に、コーヒーサイフォン社のコーノ式もある〜次回に少し触れます)。では、この二つの方式に違いはあるのでしょうか?

メリタ式とカリタ式、この二つの方式は名前も形もよく似ていますが、ドリッパーの角度や中の空気抜けの為にある「リム」という細かい線のような山が違い、淹れるコーヒーや使用する豆の焙煎濃度の違いで向き不向きがあります。

《メリタ式》
メリタ式のドリッパーは穴が一つで、メーカーの推奨する抽出法は、先ず95℃の湯をコーヒーの粉全体が湿る程度に注ぎ、30秒程蒸らした後、フィルターの人数分の目盛りまで一気に湯を注ぐとしています。

《カリタ式》
カリタ式のドリッパーは穴が三つで、メーカーの推奨する抽出法は、沸騰したお湯を用い、はじめに蒸らすところまではメリタ式と同じですが、そのあと人数分の湯を5〜6回にわけて注ぐとあります。

【解説】
両者とも高温の湯を用いるところに問題がありますが、湯を一気に注ぐのと5〜6回に分けていれるのとに「思想」の違いがあります。メリタ式は誰がいれても簡便に同じようにという「味の再現性」の概念を感じますし、ドリッパー内のお湯の保水性が高く、味が強く出ます。ドイツで発明されヨーロッパで広く使われている器具ですので、深煎りの濃く、強いコーヒーを淹れるのに向くように思います。

カリタ式は湯の注ぎ方に個人差が出やすく、注いだ分だけ素直に抽出できるので「ネルドリップ」の流れを受け継いでいるように思われます。保水能力は高くなく、日本で好んで飲まれている苦味が少ない雑味の無い浅煎り系の焙煎豆に向いているように思います。

みさらしペーパーフィルター
酸素漂白ペーパーフィルター

A紙フィルターを使用する際の注意
ドリッパーとフィルターのサイズを合わせることです。ペーパーフィルターには種類や大きさ、角度の違うものが数種類販売されています。当然ですが、ドリッパーとフィルターのサイズが同じものを使用することが大切です。

実際に、カリタ式とメリタ式ではフィルターの大きさも角度も違いますので、メーカーのフィルターを使うのが良いと思います。

具体的には、先ずフィルターのミシン目にそって底の部分をしっかり折り返す(フィルターの接合部分のギザギザのミシン目はコーヒーの味を損なう「糊」を使わないで接着してある)。

次に、横のミシン目にそって底とは逆方向に折ることで、フィルターとドリッパーを均一に密着させることができるようになります。また、ペーパーの質は大きく分けると、「漂白(白色)」と「無漂白(茶色・みさらし)」の2種類があります。

•漂白(ホワイト):木のにおいや味がコーヒーに移りにくい
•無漂白(ブラウン):木のにおいや味がコーヒーに移りやすい

ペーパーフィルターは主に木材で作られており、漂白されていない(= みさらし)ものはリグニンという木の香りの成分が残っていて、そのにおいが抽出液に含まれるようです。 漂白されているものは、その成分がだいぶん取り除かれています。

漂白タイプは昔、塩素で漂白されていたために身体への害が心配されていたようですが、現在は酸素で漂白されており薬剤を使ってないので体に悪いということはなく安全のようです。フィルターを購入される際は、通常は漂白(白色)のものを選ぶとよいでしょう。

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プロフィール

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日本コーヒー文化学会 理事、日本スペシャルティーコーヒー協会会員(SCAJ)、SCAJ公認 コーヒーマイスター(NO.169)、前・金沢大学講師 (文部科学省公認)

1977年岐阜県瑞浪市に「待夢珈琲店」開店、コーヒーの歴史書や専門書を読みあさり、独学で焙煎を覚え、自家焙煎の珈琲専門店をスタートさせる。

その後、世界のコーヒー産地を自らの足で回り、納得のいく優良な豆を買い付け、良質で新鮮な体に良いコーヒーを提供しています。

また、現在、中日文化センターの珈琲教室をはじめ、基礎クラスから専門クラスまで12講座をこなしています。

産地歴訪はエチオピア3回、イエメン4回、ブラジル、インドネシア、ケニア、タンザニア、ペルーなど。

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