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東京の残土、三重に山 建設ラッシュ、過疎地に流入  

2019/2/11 朝刊

住宅などの近くに、建設残土が高く積み上げられている現場。右下は紀勢自動車道=三重県紀北町東長島で

 三重県南部の紀北町の山林に、東京五輪を控えて開発が続く東京都心のビル建設現場などで生じた大量の建設残土が投棄され、景観悪化や崩落の危険が生じている。建設残土は産業廃棄物と異なり明確な規制ができない中、過疎地の安い山林が「残土ビジネス」の標的になっている。事態の深刻化を受け、三重県が投棄を規制する条例の制定に動きだした。

 紀北町役場から車でわずか五分の市街地。世界遺産熊野古道が通る霊場紀伊山地の裾野に、むき出しの土砂が五階建てのビルほどの高さまで急な角度で積まれてそびえる。一部は土砂が崩れえぐれた跡も。

 土砂は同町の長島港や隣の尾鷲市の尾鷲港に船で運ばれる。荷揚げしトラックで一日に何度も往復できる距離の山林が残土の投棄場所となる。業者関係者は「トラックで東京の郊外へ捨てに行くより運搬コストが少ない」と明かす。過疎・高齢化で林業が衰退し、山林の価格は下がり続ける一方。地権者にとっても収入が見込めるだけに、格好の残土の捨て場となっている。

 本紙の情報公開請求で県が開示した資料によると、残土運搬船は二〇一二年ごろから入港。現在は毎月二万〜三万トン、昨年十二月までの一年間で少なくとも計約二十九万トンが搬入された。

 港からの運搬と埋め立てをする紀北町の二業者が任意で県に提出した資料によると、残土発生元は東京・六本木の「赤坂プレスセンター」保安施設工事、横浜環状南線のトンネル工事、東京の大手町や豊洲の超高層ビル、都内や神奈川県の高級マンションや建売住宅開発など多岐にわたる。

 紀北町と尾鷲市は少なくとも計九カ所で残土投棄を確認。残土の山が巨大化した昨年ごろから、町民から不安の声が相次ぎ、大雨で残土が崩落し水路をふさぐ被害も複数回発生した。

 「やりたい放題」の残土ビジネスの背景には、有害物質を含まない土砂の積み上げを規制する法令がないことがある。一ヘクタールを超える山林開発には森林法で一定の制限が可能だが、残土への対処が目的ではない。業者は「開発許可だけ取って土砂を捨てっぱなしでええわという考え方だった」と認める。町の担当者は「調査権限がなく、写真を撮るぐらいしか…」と嘆く。

 NPO法人「廃棄物問題ネットワーク三重」の村田正人弁護士によると、残土を投棄する際の届け出を求め、積み上げる角度や高さを規制する条例が二十都府県にある。「三重は残土処理に規制がないため無法地帯になっている」と村田さんは問題視する。

 こうした実態を受け、三重県の鈴木英敬知事は一月、残土の搬入や積み上げを規制する条例検討を表明。ただ、条例の厳しさは県ごとに差が大きく、条例がある大阪府でも一四年に残土崩落事故が発生している。鈴木知事は「本来は国の責任で全国一律に規制する必要がある」と強調。紀北町の尾上寿一町長も「町を、都市の残土捨て場にされることは耐えられない」と訴える。

 (三沢聖太郎、森耕一)

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