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強制不妊、一時金320万円 被害者訴えと開き 

2019/3/15 朝刊

記者会見する全国被害弁護団の新里宏二共同代表(左)ら=14日午後、衆院第1議員会館で

 旧優生保護法(一九四八〜九六年)下で障害者らに不妊手術が繰り返された問題で、自民・公明両党の合同ワーキングチーム(WT)と野党を含む超党派議員連盟は十四日、会合を開き、被害者へのおわびと一時金三百二十万円の支給を柱とした救済法案を正式に決定した。四月初旬に共同で国会提出し、月内の成立、施行を目指す。

 長年にわたる非人道的被害の救済がようやく緒に就いたが、各地で起きている国家賠償請求訴訟の請求額は最大三千万円台後半で、大きな隔たりがある。

 法案は、前文で被害者の心身の苦痛に「われわれは、それぞれの立場において、真摯(しんし)に反省し、心から深くおわびする」と明記した。

 被害者側が求めた「国」が主体の謝罪ではないが、与党WT座長の田村憲久自民党政調会長代理は「『われわれ』の中には国会と政府が色濃く入っている」と述べた。

 一時金の支給対象は手術を受けた被害者本人。故人や遺族は対象外とする。手術の実施には当時の社会的風潮も影響したとして、本人が「同意」したとみられるケースも対象とする。

 厚生労働省によると、約二万五千人が手術を受けたとみられるが、個人が特定できる実施記録は約三千人分しか残っていない。記録のない人は、厚労省に夏ごろ設置される認定審査会で医師の所見や本人、家族の証言などを基に判断する。都道府県には相談、一時金請求の窓口を置き、支払い事務は厚労省所管の独立行政法人「福祉医療機構」が担う。

 一時金の支払時期は、記録の有無や審査の進み具合によって異なるため、厚労省の担当者は「現段階でいつとは申し上げられない」と話した。

 また、こうした障害者差別を繰り返さないため、旧法を巡る問題の経緯を国会が調査することも盛り込んだ。

◆弁護団「裁判続ける」

 旧優生保護法下の不妊手術問題に関する救済法案決定を受け、全国被害弁護団の新里宏二共同代表が十四日、東京都内で会見し、被害者への一時金を三百二十万円とした点を「落胆を禁じ得ない。被害に十分向き合っていない」と批判。「裁判をやっている人は裁判での解決を目指す」とし、国家賠償請求訴訟を継続する考えを示した。

 旧法を巡る国賠訴訟は現在、七地裁で男女計二十人が原告となっている。新里共同代表は「どの原告も一時金の額に納得しない。裁判を終わらせる効果は期待できない」と強調した。

 会見に同席した被害者・家族の会共同代表を務める東京都の男性(75)も「被害者は十分な補償と人権の回復を求めている。国は私たちの気持ちを尊重し、納得できる法律を作ってほしい」と要望した。

 一方、弁護団は声明を発表し「三百二十万円では被害回復にならない。司法判断を踏まえ、今国会中に被害の重大性に向き合った補償額を定めるべきだ」と主張。他にも(1)国の責任の明確化(2)深い謝罪と憲法違反だったとの確認(3)個別の被害者への通知−などを求めた。

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