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アジアゾウ、ゴリラの数守りたい 東山、上野など5施設連携 

2019/4/14 朝刊

東山動植物園で誕生したアジアゾウ「さくら」=名古屋市千種区の同園で

 アジアゾウやゴリラに代表される絶滅の恐れがある動物の飼育数を増やそうと、名古屋市の東山動植物園(千種区)と、上野動物園(東京都台東区)など四施設を運営する「東京動物園協会」が連携を始める。動物園の人気者も繁殖や輸入が難しく、飼育個体数は漸減傾向。日本有数の来園者数を誇る各園が、これまで蓄積した飼育ノウハウの共有を図る。

 協力するのは、東山と、上野、多摩動物公園(日野市)、葛西臨海水族園(江戸川区)、井の頭自然文化園(武蔵野市)の四施設の指定管理者の「東京動物園協会」。二月、動物園事業の発展や野生動物の保全にかかる協定を締結した。

 当面は、二〇一九年度中に、アジアゾウとゴリラの飼育担当者を一定期間、相互派遣し、それぞれの施設で飼育作業などを経験する。これまでも園同士の視察などはあったが、一時的な交流にとどまっていた。繁殖を成功させるには、実際に携わった経験が大きいため、技術や情報、ノウハウを直接やりとりする。将来的には、海外の生息地などでの保全活動で協力することも視野に入れる。

 東山、上野にはアジアゾウが四頭ずつおり、迫力ある巨体や愛嬌(あいきょう)あるしぐさが人気。ゴリラは東山の「シャバーニ」が「イケメン」で知られ、上野でもシャバーニの三歳年上の兄「ハオコ」が群れのボスだ。

 しかし、日本動物園水族館協会によると、国内で飼育されるゴリラは一九八〇年代後半に五十頭近くいたが、二〇一八年度は二十二頭に。アフリカゾウを含むゾウも八五年度の百四十頭をピークに一八年度は百十四頭と減っている。

 動物園間は、繁殖目的でゾウやゴリラの貸し借りをしているが、個体数が限られ、相性の良い相手を見つけることが難しく、出産にこぎ着けることは容易でない。さらに、ワシントン条約による野生動物の輸入規制は厳しく、個体数の維持が課題となっている。

 国内のアジアゾウは、日本人スタッフによる出産例は五例だけで、このうち一三年に東山で生まれた「さくら」は、出産後も母ゾウによる自然保育で育った唯一の事例。飼育ノウハウが高く評価されている。

 上野は一八八二(明治十五)年開園と日本最古の動物園で、海外の園と豊富なネットワークがある。国内で数少ない動物用DNA検査機器を備えるなど、医療体制も充実している。

 協定を締結した原誠・東山総合公園長(現名古屋市消防局総務部長)は「日本を代表する園同士が高度な知識を生かして協力することで、国内動物園の発展に貢献したい」と語る。東京動物園協会の千足(ちあし)有彦・運営企画課長は「ともに多数の希少種を飼育しているので、相互交流で飼育や繁殖、普及に向けて手を取り合っていける」と期待する。

 (水越直哉)

◆互いの強み生かせる

 <岐阜大の楠田哲士准教授(動物園動物繁殖学)の話> 国内の動物園同士で飼育や保全にかかわる包括的な協定というのは聞いたことがない。各園には繁殖、飼育、輸入ルートなど、さまざまな得意分野がある。そうした分野を共有することで、園の発展につながるのではないか。安定的に飼育動物の数を増やすために、互いの強みを生かすこうした協定は重要だと言える。

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