コラム・小説・漫画

壊れたものを直せ 

2019/7/22 朝刊

 66・6666…%。この数字の玄妙さを改めて考えさせられる結果である。今選挙で有権者は、いわゆる「改憲勢力」に三分の二以上の議席を与えなかった。

 強権的な政権運営に「一強」の驕慢(きょうまん)が見え隠れしても、自身に関係する疑惑が次々持ち上がっても、任命責任のある閣僚が不品行でポストを去っても、支持率は堅調。一つまた一つと、望む政治的果実を手中にしてきた首相である。

 既に、衆院では改憲勢力が三分の二を制している。今選挙は、国会での改憲発議を実現する最後の関門だった。あたかも、沸騰した鍋が噴きこぼれそうになるまさにその瞬間に注がれた「差し水」のような判断であったと言えよう。

 多岐にわたる課題で争われた選挙であれば、首相の改憲の思惑を有権者がどうとらえた結果なのかは不明である。だが、各種世論調査など見れば、そもそも国民の多くが現行憲法、わけても、不戦の砦(とりで)たる九条に“修繕”が必要だとは考えていないから、と解釈するのが自然であろう。ありきたりな西諺(せいげん)を持ち出すならば、要は<壊れていないものを直すな>である。

 ゆめゆめ、選挙後に、妙な勧誘、多数派工作などせぬよう改憲勢力には釘(くぎ)を刺しておきたい。

 一方、全体の結果はといえば、与党の大勝である。安倍政権を評価し、今後も国の舵(かじ)取りを任せるという審判だ。併せて民意を酌むとしたら、それは、改憲以外の重要課題に注力を、ということにほかならない。

 考えてみれば、アベノミクスで歪(ゆが)んだ日本経済、国民の将来不安いや増す社会保障、世界から立ち遅れたエネルギー政策など、それこそ“修繕”が必要なテーマならいくらでもある。換言すれば、国民はこう言っているのではないか。<壊れたものを直せ>と。

 (論説主幹・島田佳幸)

PR情報
  • 会員登録
  • ログイン
明日の天気(21:00発表)
名古屋
曇りのち時々雨
33 ℃/26 ℃
東京
曇りのち一時雨
32 ℃/25 ℃
大阪
曇りのち雨
34 ℃/26 ℃
  • 東名阪道で渋滞情報あり。
  • 登録路線が未設定です。
  • 公式 Twitter はこちら
  • 公式 Facebook はこちら
クラウドファンディング 夢チューブ 中日新聞
東京新聞 電子版
中日新聞の人材研修 ビジネストレーニング「ビズトレ」
中日販売サポート
東海テレビ 庄野アナと 新聞を音読してみよう!
中日防災ナビ
こどもウイークリーのこーなー
過去の企画・特集