ハンセン病 家族補償法成立 反省とおわびを明記 

2019/11/16 朝刊

 ハンセン病元患者家族に最大百八十万円を支給する補償法と、名誉回復を図る改正ハンセン病問題基本法が十五日、参院本会議で全会一致により可決、成立した。元患者への補償金支給法施行から十八年遅れ、家族補償が実現。対象者は約二万四千人とみられ、早ければ二十二日に施行して受け付けを始め、来年一月末に支給を始める。政府は家族関係修復や差別解消に力を入れ、当事者らの意見を踏まえて具体策を決める。

 法成立を受け、加藤勝信厚生労働相は「私自身先頭に立ち、補償実施や偏見差別解消、家族関係回復に取り組む」と強調。家族訴訟弁護団は「被害の全面解決に向けて大きな前進をもたらす」とのコメントを発表した。

 両法は議員立法。補償法は家族が受けた苦痛や苦難に対し、国会と政府による反省とおわびを前文に明記した。精神的苦痛への補償金として元患者の親子や配偶者らに百八十万円、きょうだいらに百三十万円を支給する。六月の熊本地裁判決より、補償額と「家族」の範囲が拡大された。

 支給には請求が必要で、家族と証明する資料の確認や外部有識者による認定審査会の審査を経て厚労相が認定する。委員には国立ハンセン病療養所長や裁判官の経験者を想定している。請求期限は法施行後五年以内。死亡した原告は補償対象に含めず、省令で同額の特別一時金を支払う。同省は必要経費を約四百億円と見込む。ホームページやポスターなどで制度を周知するとしている。

 改正基本法では、差別禁止や名誉回復の対象に元患者だけでなく家族も追加。高齢化が進む元患者の医療・介護環境を整備し、国立ハンセン病療養所に勤める医師の兼業規制を緩和した。

 熊本地裁は六月二十八日、原告五百四十一人に一人当たり三十万〜百三十万円(一割の弁護士費用除く)を支払うよう国に命じた。七月九日に安倍晋三首相が控訴見送りを表明。その後、原告側も控訴せず、地裁判決が確定した。

◆差別解消への折り返し

 <埼玉大の福岡安則名誉教授(社会学)の話> 被害回復の対象に家族が入ったこと、法の前文に国会と政府を主語にして謝罪の言葉が入ったことは評価したい。ただ、差別と偏見がなくなって初めて決着したと言える。法成立はそこへの折り返し地点にすぎない。国はこれまでの差別解消の取り組みを検証し、被害実態の把握と解決に向けた具体的な議論を進める必要がある。議論や決定の場のメンバーには専門家だけではなく、元患者や家族も参加させるべきだ。これからが正念場だ。

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